漢方の勉強会に出席しました。目からウロコの新しい学びでますます漢方薬が好きになりました。②

 

さて、前回にひきつづき
先日出席した、大好きな先生
センプククリニック院長の千福 貞博先生の講義で学んだことをシェアしていきたいと思います。

●前回までの内容

・漢方の勉強会に出席しました。目からウロコの新しい学びでますます漢方薬が好きになりました。→こちら

漢方の勉強会に出席しました。目からウロコの新しい学びでますます漢方薬が好きになりました。

 

●漢方では、病気を診断する、方法、考え方を『弁証』といいます。
それぞれの弁証に得意分野があります。
★それでは、ひとつひとつの弁証をさわりだけ見てみましょう!

①八綱弁証(はちこうべんしょう)

さて八綱弁証というのは
『陰陽』『表裏』『寒熱』『虚実』の考え方で診断をしていく方法ですが
ここでも私は、一つ大きなことを教えていただきました!

まずは『表裏』『寒熱』『虚実』のどちらかなと探っていきます。
この組み合わせが、8通りなので、八綱弁証の『8』はこの『8』何だそうです!
という大原則を聞いて、思わず『あ!!』と声を上げそうでした。
陰陽を入れての『8』だと思ってました。
そうではなくて
『陰陽』に関しては、『表裏』『寒熱』『虚実』の区別をつけてから
空間座標の考え方をするのだそうです。

つまり

X軸に 表裏
Y軸に 寒熱
Z軸に 虚実

を定量的にとらえ

X+Y+Z>0なら 『陽』
X+Y+Z<0なら 『陰』

と考えると理解が容易になると教えていただきました。
座標の原点からの距離は病状の重症度とも教えていただきました。

私の中では、この事が一番大きな発見でした!

今まで当院で使用していた問診票ですが、少し作り変えたほうが良いかなと思います。
またバージョンUPして行きますので少々お待ち下さい。

●ここで簡単に『表裏』『寒熱』『虚実』復習しましょう。

●表裏
表裏は体のオモテウラと考えると難しいです。(私もこのトラップに引っかかって苦しんでいました。)
発生学の知識が有用です。

『表』     外胚葉 (神経 皮膚症状 汗)
『半表半裏』  中胚葉 (筋肉 横隔膜 血液 リンパ)
『裏』     内胚葉 (消化管)

と考えればよいそうです。
どこに症状があるのかで『表裏』の区別をつけます。

●寒熱
温度での分け方です。
ここでのポイントは、『自覚症状が優先!』という点です。
熱発していても、悪寒があれば『寒』です。
これも意外にだれも言葉ではっきり教えてくれることは少ないです。

漢方薬には、温める生薬と冷ます生薬があります。
ここをしっかり聞き取って上手く使い分けたいです。

●虚実

ここでのポイントは、『日本漢方と中医学で『実』の解釈がちがう!!』ということです。
八綱弁証では『中医学』を重んじるというのが作法のようです。
これも、もはや聞いてないよーという感じでした(笑)
口頭で語り継がれるものなんでしょうか?
やはり、だれかにこうやって導いてもらって学んでいくものなんだと思います。

・日本漢方では、体質が強いとき『実』、虚弱だと『虚』です。

・中医学では
ウイルスなどの外から攻めてくるパワーが強いことが『実』
患者さんが、だんだん自体の免疫や栄養が低下してきたのが『虚』

となります。どちらの状態がメインな状態かでつければ良さそうです。

 

②六経弁証(ろっけいべんしょう)

こちらは、急性熱性疾患の自然経過にかなり合います。
なので風邪を引いた時に当てはめるとしっくりきます。

6つの時期に分けて
それぞれ『病位』といいます。
先程の、八綱弁証とこの六経弁証はクロスすると言われています。

①太陽病 表       寒          実      陽
②少陽病 半表半裏    寒熱往来       実      陽
③陽明病 裏       寒熱は不定      実      陽
④太陰病 裏       寒熱は不定      虚      陰
⑤少陰病 裏       寒熱は不定      虚      陰
⑥厥陰病 裏       寒熱は不定      虚      陰

 

はじめは、外からウイルスが入って、皮膚がゾワゾワして(表)
悪寒がして続々して寒気があり(寒)、ウイルスの勢いが強い(実)のですが(太陽病)
だんだん、節々がいたんで(半表半裏)、熱がでたり汗をかいて下がったりして繰り返し
徐々に、口が苦くなってきて、(裏)嘔気が出てくる
ここで治れば良いけど
長引くと、食べられなくなり弱ってくる(虚)

という一連の流れを考えてみるとスッキリすると思います。

どの時期にいるかで、使用するオススメの生薬があります。→こちらもご参照ください。

③気血津液弁証(きけつしんえきべんしょう)(今回の千福先生の講義はここがメインでした。)

漢方を学ぶときに
比較的とっつきやすいのは『気血水』だと思います。

私は、ここから入っていった気がします。
今回、この気血津液弁証が得意なのは、『発作・増悪を繰り返す』慢性疾患が得意と聞いて
おーーなるほど!と思いました。

急性のめまい発作。月経前緊張症候群(PMS)などのことです。
たしかに、ここらへんも漢方が得意な分野です。

この間の講義は、この気血水がメインで、目からウロコポイントばかりで書きつくせませんので
私のアハ体験というか
『おーーーそういうことか!』
を中心にシェアします。

まず、これはクセとしか言いようがないのですが
『気血水』といっているのに
なぜか『水』を『津液(しんえき)』と呼ぶことです。
また『血』と『水』が合わさって『陰』というようですが(その中でも『水』がメイン)
さきほどの『陰陽』の『陰』とは無関係だそうです。

これは、『なんでやーーー!!!関係ないんかーい!』と思ってしまいました。

こういうことは
やっぱり本を読むだけでは分からないです。

なので漢方の本を読むとよく出てくる
『陰虚』という言葉は、西洋医学でいうと『脱水』のこと!!!
とのことです。(厳密には津虚)
陰虚って八綱弁証の陰虚じゃないんだー!!!!というのが本当にびっくり。
なにも同じ『陰』と『虚』にしなくても。。。と思ってしまいましたが

これを聞いておくと
いろいろ
めちゃくちゃ腑に落ちました。

●『気』について

気の病態には『気虚』『気鬱』『気逆』があります。

★私の過去のブログはこちらです。
・漢方薬について 〜「気」とは何ですか?〜 気虚??→こちら
・漢方薬について〜「気」とは何ですか?〜 気鬱??→こちら
・漢方薬について〜「気」とは何ですか?〜 今日は、気逆!?→こちら

今回の大きな学びは各病態によって『気』のイメージは微妙に違うので
しっくりする言葉に言い換える事ができるということです。

気虚『気』活力、免疫力、栄養のことと捉えると説明がつきやすく
これらが足りないことを『気虚』と呼びます。

一方、気鬱という時の『気』は、そのまま気体と考えたらよく
そういう『ガス』が喉や胸や心窩部に詰まっているイメージです。

最後の気逆『気』は、『自律神経作用』というか
交感神経と副交感神経の働きが『逆転』していると捉えるとうまくいくそうです。
たとえば、パニック発作にしてもホットフラッシュにしても
突発的にに休んでいい場面でカーっとくるようなイメージでしょうか?

なんとなく私も病態イメージは合っておりましたが
同じ『気』でも『気虚』『気鬱』『気逆』で言い換えたらうまくいく
と言語化して教えてもらい
こういうイメージの可視化が
漢方の勉強には必要だなあと思いました。

●『血』について

『血虚』血』という病態あります。

★私の過去のブログはこちらです。
・漢方薬について〜今日は「気」「血」「水」の「血(ケツ)」!〜→こちら

まず『血虚』ですが
今の西洋医学に寄せて考えると
血虚=『貧血』+『筋肉の異常(心臓の筋肉も含む)』
と捉えるとうまくいくそうです。

つぎに、実に漢方医学らしい用語ですが、『瘀血(おけつ)』という病態です
打撲の時の内出血のような、古い血が流れていかない状況を指します。

今の西洋医学でいうと
瘀血=『血流不全(打撲やストレス)』+『リンパの流れが悪い』
状況ととらえたら良い
そうです。

●『水』について

『水』(津)の病態は『陰虚』『水毒(水滞)』です。

★私の過去のブログはこちらです。
・漢方薬について〜今日は「気」「血」「水」の「水(スイ)」!〜→こちら


上記でもお話したように

『陰虚』脱水です。(驚き!)
『水毒(水滞)』は、水の流れがとどこって、溜まっている部分と足りない部分がある

ここは、上記記載したので、あっさりこれくらいにしておきます。

④臓腑弁証(ぞうふべんしょう)

さて『臓腑弁証』は、慢性疾患が得意技です。

五臓六腑の『五臓』ですが
実は『膵臓』がありません。
昔は解剖は、時間が経ってから行っていたので膵臓は消失していたという説があります。
なので有名な先生の中でも、五臓論に否定的な先生もおられるそうです。

私も、この弁証が一番理解に苦しみました。
今でも、かなり難しいです。
千福先生の著書
・レシピ プラス すぐに役立つ・ずっと使える 漢方 The 基本 編集 千福 貞博先生 南山堂→こちら

やその他の本を読んで理解を深めたいと思いますが、、、
少し時間がかかりそうです。

長くなってきたのでこれは、また次回にしたいと思います。

おわりに

さて今回も盛り沢山でした。
自分で分かっていたつもりでも
今回、間違って理解していた所や
こっちの考えの方が上手くいくというような体験をして
非常に面白かったです。

今回得た知識を持って、再度
いろいろな本を読んだり
講義に出て
理解を深めたいと思います。

私の勉強のモチベーションはいつも患者さんです。
あの人には、この漢方が効くかな???この人にはこっちを今度相談しよう。
と想いを馳せながら勉強してます。

みなさんが少しでも楽に過ごせますように。

今日、ネパールの患者様が受診されました。
病態的には、『気虚』だと思うのですが
これを拙い英語で説明するのに四苦八苦しました。
リックンシトウという漢方を処方しましたが
意味が伝わって、改善していたらいいなとも思います。

次回もお楽しみに。

あん奈

 

【漢方ブログ】まとめ

●リアルな漢方問診の流れ

・漢方のお話 リアルな漢方問診の流れ→こちら

漢方のお話 当院のリアルな漢方診療の流れ

●陰陽虚実とは?

・今日は、陰陽虚実(いんようきょじつ)と言う考え方を中心にお話します。→こちら

漢方のお話 今日は、陰陽虚実(いんようきょじつ)と言う考え方を中心にお話します。

 

● 気血水とは?

 

【気血水について】

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・漢方のお話 六病位という考え方について 正直・・・私にとっては難しい考え方でありますが、、→こちら

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●おすすめの著書

 

・レシピ プラス すぐに役立つ・ずっと使える 漢方 The 基本 編集 千福 貞博先生 南山堂→こちら

漢方the 基本

は、薬剤師さん向けに書かれた本との事ですので
『診察』の項目はないのですが
すごく分かりやすく
あ!!そういうことか!とびっくりするほどすんなりわかりました。(超オススメです。)