漢方の勉強会に出席しました。目からウロコの新しい学びでますます漢方薬が好きになりました。③

さて、前回にひきつづき
先日出席した、大好きな先生
センプククリニック院長の千福 貞博先生の講義で学んだことをシェアしていきたいと思います。

●前回までの内容

・漢方の勉強会に出席しました。目からウロコの新しい学びでますます漢方薬が好きになりました。→こちら

漢方の勉強会に出席しました。目からウロコの新しい学びでますます漢方薬が好きになりました。

・漢方の勉強会に出席しました。目からウロコの新しい学びでますます漢方薬が好きになりました。②→こちら

漢方の勉強会に出席しました。目からウロコの新しい学びでますます漢方薬が好きになりました。②

さて前回は4つの弁証

①八綱弁証(はちこうべんしょう)
②六経弁証(ろっけいべんしょう)
③気血津液弁証(きけつしんえきべんしょう)
④臓腑弁証(ぞうふべんしょう)

をひとつづつ見ていって最後の臓腑弁証だけ残しておりました。

●それでは、前回ひとつだけ残っていた臓腑弁証を見ていきます。

④臓腑弁証(ぞうふべんしょう)

私は、この弁証が一番理解に苦しみました。
というか今も『腑に落ちない』(ダジャレ!?)ところがあります。
なのでまた理解を深める毎に追記していきたいと思っていますが
とりあえず今私が理解しているところだけでも記載してみたいと思います。

臓腑弁証とは、いわゆる「五臓六腑(ごぞうろっぷ)にしみわたる。。。」というときの
五臓六腑のどこが病んでいるのかを判断する弁証法(診断の考え方)です。


八綱弁証において裏証
つまり病気の原因が身体内部に潜んでいると判断された場合に臓腑弁証が有用になるようです。

慢性の疾患を扱うのが得意とされています。
弁証の結果は、気血津液弁証とあわせて『肝血虚』のように表現されます。

五臓六腑の『五臓』ですが『膵臓』がありません
昔は解剖は保存状態が悪く
時間が経ってから行っていたので
膵臓は、溶けてしまって消失していたからという説があります。
なので、実際の現代の解剖学が分かってしまうとちょっと矛盾がでてくるので
否定派の先生方もおられます。

どうしても解剖学が進歩した現代の私達に分かりにくく感じてしまいます。
そこで思い切って言葉通りの臓器とはうけとらずに、こうやって昔の先生達は
捉えてたんだな〜くらいで良いのかなと思いました。
でも、今は通用しないかというとそうではなくて
なるほどこう考えたらうまく説明できるな〜という
今でも通用することもたくさん含まれた考え方です。

 

●五臓五(六)腑とは?

五臓は五腑よりも深部(裏)に位置しており
人が生きるために必要な気血水を生成し貯蔵する役割
五(六)腑
食べ物を消化し、排泄する所として
身体の外部と交通しているもの(表)
と考えられていました。

五臓(脾 腎 肝 心 肺)と五(六)腑(胃 膀胱 胆 小腸 大腸)
(六腑とする場合は三焦(気血水の通り道)を含むようです。)
は、それぞれ単独ではなく対応しあい、お互いに助け合いながら機能しています。
臓腑が安定すると対になる「六腑」の機能も安定しという考えです。逆も然りです。(弱ると相方が弱る)
例えば、胆の機能が正常であれば、肝の機能である精神も安定すると考えます。
胆に問題があると、肝にも問題が出てくる。


五臓六腑

そこに
五行(土 水 木 火 金)
を当てはめて考える事ができるとしたのが五行説です。

★五行説とは

もっかどごんすい

 

五行説というのは
地球のあらゆるものは

「木」「火」「土」「金」「水」(もっかどごんすい)の
五つの要素から成り立っていると考える思想です。
それぞれに特徴があり、互いに影響しているとされており
五臓もこれに当てはめて考える事ができるとされます。

これについては、クラシエさんがわかりやすい説明をHpに載せておられます。→こちら

五行説

クラシエ HP 漢方基礎知識 「五行とは?」→こちら

 

さらにそこに
五味 五官 五体 五志
それぞれ対応しているという考え方です。(後述します。)

複雑になってきたので対応表を載せてみます。

五行と身体器官・生命活動

引用

・レシピ プラス すぐに役立つ・ずっと使える 漢方 The 基本 編集 千福 貞博先生 南山堂→こちら

 

 

相生と相克という考えかた

さて先程の五行説の説明で乗せたように
五臓を五行説に当てはめて、それぞれの関係性を見てみるとこうなるようです。

五臓は、お互いに
相生相克の関係にあると言われています。

相生(そうせい/そうしょう)→相手をうみだす、助ける、促進する

相克(そうこく)→相手を弱らせる

もっかどごんすい

単独で一つの内蔵だけが悪くなるということはなく
それぞれが関連し合って今の病態を創っているという考え方を五行説になぞらえたのだと思います。

この中でも特に千福先生が大事と強調されたのは
・土(脾)生 金(肺)の関係
・木(肝)克 土(脾)の関係でした。

★木(肝)克 土(脾)
肝の病態(イライラ)があると、脾(消化吸収)は傷害される。
というのは、なんとなく体験あるのではないでしょうか?

私もまだきっちりと掴めませんが
昔の偉い先生達はこのような考え方でなんとか
事象を捉えようとしており
法則を作って治そうとしていたんだなと思うことにしました。

それぞれの五臓の機能を見てみましょう。

それぞれの五臓の機能をなるべく簡略化して記載してみます。
またその部位が異常を来すとどのようなサインが出てくるのかも書いてみます。

臓腑弁証

 

●『脾』

脾は、飲食物を消化吸収し、気血水を作り出す所です。
四肢や筋肉などにも影響を与えるとされています。

→『脾』の問題があると
手足が黄色くなったり
よだれが出やすい、吐き気といった症状になるそうです。

●『腎』

尿を生成する組織と『性欲』を司る所と捉えていたようです。
生命の根本、本能の場所というか。
よく体の中において「兵隊さん」に例えられます。

→『腎』に問題があると
年齢を重ねると起こる諸症状が出てくる。
『腎虚』といいます。
性欲が衰え尿がでにくくなるイメージです。

 

●『肝』

体において作戦本部、「将軍」のようなイメージ
肝は自律神経や情緒などをコントロールするとされています。

→『肝』に問題があると
怒りっぽくなったり、精神が不安定になったりします。
『カンの虫』といったりしますね。


●『心』

『心』は五臓の中でももっとも重要な臓器とされており、「君主」に例えられます。
・血を循環させる。
・精神を保つ場所、つまり精神・意識をコントロールする場所
という2つの大きな役割があります。
血液は全身に流れているため他の臓腑にも影響を与えます。

→『心』に問題があると
汗をかきやすい、舌先が赤い、不眠
のような問題が出てきます。

 

●『肺』

『肺』は、空気(や元気)を取り込んで栄養にする
つまり『気』を取り込む所というふうに捉えられていたようです。
また水分を全身に配布する役割もあります。

→『肺』に問題があると

憂いやすくなり
涙や咳が出ると考えられていたようです。

では「五(六)腑」の役割は?

「五(六)腑」は、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦をさすと先ほどお話ししました。
「五(六)腑」は食べたものを受け入れ、消化・吸収をし、不要なカスを排出するための通り道と考えられています。

●「胆(たん)」について

胆は
胆汁を貯蔵し、食物で得られた栄養素を全身に流す働きがあります。
相方は、肝でしたね。
胆が悪くなると、肝にも影響が出て怒りっぽくなると考えられます。

 

●「小腸(しょうちょう)」について

小腸は、胃で消化された物を消化し、体に入るものいらないものを分別する働きです。
小腸は心と表裏の関係でした。
小腸の状態が悪くなると心も不安定になるため不眠・物忘れなどの症状を起こします。

 

●「胃(い)」について

胃は、飲食物を受け入れて溶かし、小腸へ運びます。
胃と脾が表裏の関係でした。
胃の状態が悪くなると、脾に影響して吐き気や嘔吐などを起こします。

 

●「大腸(だいちょう)」について

大腸は、不要なものを糞便として排泄させます。
肺と大腸が表裏の関係でした。

肺の機能が弱くなると、カラダの中の空気の循環が悪くなり
乾燥するため
大腸に影響し、便秘になりやすくなると考えられています。

 

 

●「膀胱(ぼうこう)」について

膀胱は、不要な水分から尿をつくり、排泄する働きがあります。
膀胱は腎と表裏の関係でした。
腎の働きが悪くなると頻尿や排尿困難といった症状を起きると考えられています。

 

●「三焦(さんしょう)」について

さて五臓六腑と六腑とした場合に最後の人るの腑は「三焦」という聞き慣れない言葉です。

三焦は、気と水の通り道と考えられています。。
上焦・中焦・下焦の3焦です。
上焦は、頭頂〜横隔膜まで、中焦は、横隔膜〜へそまで、下焦はへそから足先までを指します。

対称となる臓器はありませんが
上焦は心・肺
中焦は脾
下焦は肝・腎
と関係があるとされています。

 

三焦

最後にもう一度、対応表を載せておきます。

この対応表の見方はこうなります

例)

肝に負担がかかりすぎたときは
五味をみると「酸」です。
レモンやみかんなど五味の「酸味」の食材が向いています。
五官によると肝の症状は「眼」あらわれます。
目が疲れたり、視力が落ちたりすることもあります。
五志をみると「怒」
精神的に怒りっぽくなるのが特徴です。

五行と身体器官・生命活動

引用

・レシピ プラス すぐに役立つ・ずっと使える 漢方 The 基本 編集 千福 貞博先生 南山堂→こちら

 

 

上手く対応表も見ながら診断や、治療につなげたいと思います。

 

 

おわりに

いやあ。奥深いですね。

正直にいうと
どういう事かなあ?と考え込んでしまうところもありますが
まだ解剖学なども発展する前から(解剖は昔は腑分けと言ったそうです。)
なんとか医学の先人たちが
患者さんの体のなかに起こっている事象を
説明できるようになろうと
たくさん患者さんを見て考えて
編み出した診断学なんだろうなと思うと
尊敬の念です。

手元に対応表をおきながら、いろいろ読み進めると理解が深まりそうです。
ひきつづき、私も勉強していきます。

長くなってきたので今回はこのあたりで。

 

あん奈

 

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