漢方の勉強会に出席しました。目からウロコの新しい学びでますます漢方薬が好きになりました。
こんにちは。
さて、先日の日曜日。
また私が、とっても好きな先生、センプククリニック院長の千福 貞博先生の講義に出席させていただきました。
漢方は、場所によるかもですが、医学部では少しだけしか習わなかった記憶があります。
(覚えていないだけだったらすみません。)
茶道のように『流派』のようなものがあり
しっかり学ぼうと思ったら
その懐に飛び込んで(学びに行って)
お師匠さんについて学び
深まっていくところがあります。
なので私のような開業医で
現場を離れられるわけにいかない者には
漢方をどこかに学びに行くのは少しハードルがあったのですが
開業医でも受けやすいように
ありがたいことに
たくさんの勉強会をオンラインや対面で用意、開催してくださっております。
私もオンラインでいろいろな授業を受け
知識を増やしていっていたのですが
今回は、対面講義
しかも大好きな千福先生の対面講義に出席させていただきました。
本当にワクワクして出席しました。
千福先生は
もともと外科医の先生で
漢方の世界と、西洋学の世界のツアーコンダクター、翻訳者のように
漢方の世界にイザナってくださり
西洋医学から入った我々の『とまどう部分』『理解に苦しむ部分』を
ちゃんと『言葉にして』教えて下さるので分かりやすく人気の先生です。
今回の講義でも
モヤついていたところが
ストンと落ちたところが複数箇所ありました。
今日は、そこを中心にまた少し綴りたいと思います。
教えていただいた著書
・レシピ プラス すぐに役立つ・ずっと使える 漢方 The 基本 編集 千福 貞博先生 南山堂→こちら
は、薬剤師さん向けに書かれた本との事ですので
『診察』の項目はないのですが
すごく分かりやすく
あ!!そういうことか!とびっくりするほどすんなりわかりました。(超オススメです。)
さて早速、私が学んできた事の
エッセンスだけ抜き出してシェアしたいと思います。
●西洋医学と漢方医学のちがいを楽しむ
まず、おもしろいなと思ったのは
西洋医学の薬品開発は『一神教』の思想なのに対し
漢方薬開発には『多神教』の思想『八百万の神』の思想があるという考え方です。
漢方医学は、良いと思うことを組み合わせてみる。
どちらが良い悪いではなく
私は自分が、割とそういう性格のところもあり
その漢方医学の考え方は受け入れやすく感じました。
私も
患者さんに良さそうだと思ったら
西洋医学処方だろうが漢方医学だろうが
強いこだわりがあるわけではないです。
千福先生が好きな歴史上の漢方の先生
本間棗軒(ほんま そうけん)先生(1804−1872)は
『西洋医学と漢方医学を組み合わせた折衷派医学が日本の医学である』
と教えたそうです。
私もこの考え方に近いなと思っております。
本間棗軒先生の銅像が水戸にあるそうです。
私もしっかり勉強を進めた暁には
いつかその銅像と写真をとりたいなと思ってます!
★西洋医学と東洋医学の教育の流れのちがい
さて教育の流れの違いにも言及されており
これまた目からウロコでした。
今の医学部では、西洋医学がメインであり
生理学を学んでから、次に病理学を学び、その上で診断学を学んで、臨床医学を学んできました。
理論をしっかり身につけてから実臨床に活かすという考えです。
一方、漢方医学は
先に漢方に親しんで良いのだそうです。
というのも、漢方は理論から入ると、とんでもなく難しく逃げ出したくなるからです。
使っているうちに(臨床医学)
もっと効率よく処方したくなり、脈診、舌診、腹診などの診断学を学ぶようになり
そこから、『気血水とは?』みたいな弁証(後述)などの理論を学ぶとしっくり来る。
はじめから、『気とは?』ということを言葉で学ぶことは、悪くはないのですが難しく
本当にしっくり来るのはある程度慣れ親しんでから。
逆にいうと
理論がしっくり来る前に
まずは、症状に合わせて、漢方処方に慣れ親しんでも大丈夫だよ!
という温かいメッセージのように受け取りました。
私も、自分なりに勉強しつつ
患者さんと相談しながら、日々漢方を取り入れております。
そろそろ、しっかり弁証(後述)などの理論をもう一度
しっかり学びたいと思ってたので
この順序はあながち間違っていないんだと安心しました。
●なんでもいいものを、混ぜれば良いというわけでもない!
千福先生は、講義の中で
鍋に例えて語っておられましたが
いろんな美味しい鍋が巷にあるけど
じゃあそれをすべて混ぜれば美味しいかというと。。。そうではないでしょう?
とおっしゃっていました。
それぞれの生薬を混ぜて煮出して作っているのが漢方ですが
良かれと思ってなんでもかんでも
配合すると、かえって効果を損なう組み合わせがある。
ここを中心に学んでいくことの大切さを知りました。
●漢方医学書の歴史
私は、歴史がそれほど得意ではなく
そこは正直避けてきてしまっていましたが
かいつまんで
大きな漢方歴史上の出来事やキーとなる古典を聞き
そのうえで、こういった流派がいるんだと聞いていくうちに
おもしろいなと思いました。
どうやって今の日本の漢方が体系だってきたのかを知るためには
先人たちの書物や歴史を知ることはとても意味があると感じました。
いろいろな豆知識も豊富に教えて下さいました。
ちなみに
かの有名な近松門左衛門の弟さんは
岡本一抱(おかもと いっぽう)先生(1655−1716)という有名な漢方の先生出そうです。
●ここが目からウロコ! 『弁証』同士の立ち位置
さて、私が下記ブログでも『気血水』『陰陽虚実』『六病位』なんて話を書いてきておりました。
自分が学んだ順に
なんとなく分かったような気持ちになり
自分の言葉で書いたつもりですが
どこかでモヤツキがありなんかしっくりこない『理論』の部分でした。
今回の講義や、教えていただいた著書の中で
ここがかなりスッキリしました。
くわしくは
・レシピ プラス すぐに役立つ・ずっと使える 漢方 The 基本 編集 千福 貞博先生 南山堂→こちら
を参照していただければと思います。
でも上記したように、この理論から入ると難しすぎるかもです。
ある程度漢方に慣れ親しんでからもう一度勉強すると
不思議とスンナリ入ってくるようです。
今回の私にとっての最大の収穫、アハ体験でした。
●まず弁証とは
まず弁証とは何か?ですが
漢方では、病気を診断する、方法、考え方を『弁証』といいます。
漢字辞書を思い出してみてください。
いろいろな調べ方があると思います。
『部首』『画数』などなど・・・最終的に一つの文字にたどり着くけど
様々な調べ方がある。。。。あのイメージです。
●まずは4つから 使い分けは。。
いろいろな攻め方(診断の仕方)あると思いますが、まずは
①八綱弁証(はちこうべんしょう)
②六経弁証(ろっけいべんしょう)
③気血津液弁証(きけつしんえきべんしょう)
④臓腑弁証(ぞうふべんしょう)
から入っていけば良いと思います。
ここでも私の中で、おお!と思ったのは
私はすべての事象をこの考え方に当てはめようとして
矛盾がでてきたりして前に進めなかったのですが
それぞれの診断方法にも得意分野があるそうです。(そうなんだ!)
使い分けとしては
①八綱弁証は、基本的にどんな時でも考える
②六経弁証は、『急性の熱性疾患』たとえば、風邪なんかにピッタリ来る考え方。
③気血津液弁証
『慢性疾患』
なかでも『めまい』『パニック』『PMS』といった、『急に発作的に悪くなってまた治る』をくりかえす
ようなタイプの疾患が得意である。
④臓腑弁証
『慢性疾患』が得意
とのことでした。
それぞれ得意としている弁証で処方に近づけばよいのだとしって心が軽くなりました。
それでは、それぞれの弁証を
ゆっくり見ていこうと思いますが。。
さて、長くなってきたので、今日はここまで。
目からウロコポイントが多すぎて、長すぎるので
こまめに分けていきたいと思います。
おわりに
さて、今日は漢方の勉強会で学んだことをシェアしました。
新しい知識を得ることは
本当にありがたく嬉しいことです。
そしてとても楽しいことです。
興味のあることならなおさらです。
私は、医学に興味があり
日々の診療がとても好きです。
今日学んだことが
明日から診療に活かせるかもしれない
と思うとすごく嬉しく思います。
医学には、『分からない』『治せない』『検査には異常がでない』
事も多々あります。
そんな時に
『ちょっと漢方を使ってみましょう』と言えることは
診療の幅が広がると感じております。
次回もひきつづき、今回の勉強会で学んだことをシェアしたいと思います。
【漢方ブログ】まとめ
●リアルな漢方問診の流れ
・漢方のお話 リアルな漢方問診の流れ→こちら
●陰陽虚実とは?
・今日は、陰陽虚実(いんようきょじつ)と言う考え方を中心にお話します。→こちら
● 気血水とは?
【気血水について】
・漢方薬について 〜「気」とは何ですか?〜 気虚??→こちら
・漢方薬について〜「気」とは何ですか?〜 気鬱??→こちら
・漢方薬について〜「気」とは何ですか?〜 今日は、気逆!?→こちら
・漢方薬について〜今日は「気」「血」「水」の「血(ケツ)」!〜→こちら
・漢方薬について〜今日は「気」「血」「水」の「水(スイ)」!〜→こちら
・漢方のお話 六病位という考え方について 正直・・・私にとっては難しい考え方でありますが、、→こちら