暑い夏の水分補給に、甘い飲み物のがぶ飲みはご注意あれ☆ペットボトル症候群とは!?
暑い日が続いておりますが
体調は崩されてませんか??
この間たまたま見ていたテレビで
「ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)」の特集をやっていました。
皆様は、この特徴的なお名前をお聞きになったことがあるでしょうか?
暑い夏に
熱中症対策として
水分をとるようにとあちこちで耳にすると思います。
では、水分補給として何を飲めばよいのでしょうか?
どうせなら、美味しい飲み物を!と思われる方もおられると思います。
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かくゆう私も
ついさっき甘い、甘いフルーツティー(しかもお気に入りのため多数買い置きしているもの)を
美味しく頂いたところでした。
さて、さて、この甘い飲み物は
「たまに飲む」くらいならOKですが
ガブガブと水分補給の代わりに飲むと
「ペットボトル症候群」という病態が引き起こされることがあります。
「ペットボトル症候群」・・・・
ペットボトルとついてますが
実は、甘い飲み物が関係しており、ペットボトルでも瓶でも缶でも起こります(笑)。
いったいどんな病態なのでしょうか?
病態の本体としては
当分の多い飲み物を一気に大量に摂取すると
急性の糖尿病に似た病態が引き起こされ
様々な症状が出てくるというものです。
ペットボトルというポップな響きからは
あまり重篤感は感じられないかもしれませんが
時には意識を失うほど重篤な病態になることがあるので要注意です。
さっそく詳しく見ていきましょう。
今日は、そんな「ペットボトル症候群」についてのお話です。
はじめに
●ペットボトル症候群とは
「ペットボトル症候群」は正式には、「清涼飲料水ケトーシス」と呼ばれます。
糖分の多く含まれた飲み物を短期間で大量に摂取することによって引き起こされる急性の糖代謝異常です。
この病態は1992年に聖マリアンナ医科大学の研究グループによって初めて報告され
「ペットボトル症候群」という名称で広く知られるようになりました。
こういった清涼飲料水と言われるソフトドリンクには
意外に!!予想を遥かに上回る量の糖分が含まれています。
例:市販の飲料500mLあたりの糖分含有量の例(角砂糖:1個4gとすると)
- コーラ系飲料:約56g(角砂糖14個!)
- スポーツドリンク:約31g(角砂糖 8個!)
- 甘いコーヒー飲料:約25g(角砂糖 6個分!)
どうでしょうか?
そんなに入っているとは。。。
と驚いてしまいませんか?
つまりソフトドリンクを大量に飲むということは
しらずしらず!?
大量の糖を摂っているということになるわけです。
●発症のメカニズム
通常、食事をすると血糖値は上昇し
膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンによって
血管の中から適切に細胞内にとりこまれてエネルギーになります。
さて、では、
一気に甘いものを大量にとるとどうなるでしょう。
①血糖値が急激に上昇します。
経口で取り込まれた糖分は
血管の中に入り血糖値が急激に上昇します。
②インスリンの相対的な不足
さて、通常は血糖値が上昇するとインスリンが細胞内に取り込むのでした。
しかし血管の中で血糖値が高い状態が長く続くと
インスリンの分泌や働きが悪くなることが分かっております。
すると糖分は血管の中にたくさんあるにもかかわらず
細胞の中に持ち込めずエネルギー不足になってしまいます。
③ケトン体の産生
すると、体はエネルギー不足を
脂肪を分解して補おうとします。
脂肪は分解されるとケトン体になりますが
このケトン体が増えると体は酸性に傾いて
「ケトーシス」という状態になります。
④さまざまな症状の出現と悪循環
血管の中に糖分が多いと
利尿作用が進み、血管の中の水分を一気に尿として出そうとします。
すると余計に喉が乾いてします。
ここでまた清涼飲料水をとると、、、悪循環です。
また先程生成された「ケトン体」によっても様々な症状が引き起こされます。
倦怠感、はきけ、イライラの症状が出てきます。
症状をもう一度見直しておきましょう。
●軽症の場合
多飲、多尿は疑うきっかけになりますが
はじめは、あまりこれと言って特徴のない症状です。
・喉が乾く(多飲)
・頻繁な尿意(多尿)
・全身の倦怠感
・食欲がない
・いらいらする
・眠気がある
●進行すると。。。
症状が進行すると、より深刻な状態となります。
水分をとってもすぐ尿で、出てしまい、脱水が著明になってきます。
また体が酸性に傾いているのを補正しようと
呼吸がハアハアとなることもあるでしょう。
また脂肪が燃やされて、ケトン体が貯まると吐き気が出てきます。
・意識障害
・呼吸困難
・嘔吐
診断はどうやってつけるでしょうか?
●問診
まずはやっぱり清涼飲料水、甘い飲み物を大量に取ったというエピソードが確認できたら疑います。
糖尿病の既往や家族歴も参考になります。
●身体診察
脱水が著明になると血圧が下がり、脈が早くなります。
酸性を代償するために
呼吸がはあはあとするとケトン臭といわれる
「甘酸っぱい、くだものが腐ったような匂い」
がすると言われます。
●検査
診断をつけるために、採血と採尿をします。
【採血】
・血糖値が高値
・血液pH:酸性
【採尿】
・尿糖:陽性
・尿中ケトン:陽性
治療はどうしていくのでしょうか?
●急性期の治療
☆軽症の場合
・清涼飲料水の摂取中止
・水分補給(水やお茶)
☆中等症以上の場合
・点滴による脱水と電解質補正
・インスリンの投与
●急性期を過ぎても・・・
ペットボトル症候群そのものが直接糖尿病に移行するわけではありません。
ただ、ペットボトル症候群発症する方は
もともと糖尿病の素因を持っている可能性があります。
そのため急性期をすぎても
・適切なバランスのとれた食事
・適度な運動
・十分な睡眠
を心掛けて
定期的に採血、採尿などの定期検査を受けましょう。
では、水分補給は何でどう行えばよいのでしょうか?
水分補給に適した飲み物
やはり、血糖の観点からは、糖分が入ってないものがいいでしょう。
もし汗をかいている場合には、塩分も必要です
- 水
- 無糖のお茶(緑茶、麦茶、ウーロン茶など)
- 無糖のコーヒー
- 炭酸水(無糖)
水分補給のコツ
何事も、「〇〇すぎ」は良くないです。
・少量ずつこまめに、喉の乾く前に飲みましょう。
・塩分もしっかり補給を
・できれば常温で(体がひえすぎないようにしましょう)
おわりに
「水分をちゃんととりましょう!」
このセリフは聞き慣れていると思います。
確かに水分はとても必要です。
熱中症予防にも、脳梗塞予防にも、便秘にも
水分は必要です。
実は、私も診察の中でよく言いますが
何を飲めばいいか。。。ムズカシイですよね。
現代では、自動販売機もコンビニも至る所にあり
いつでも手軽に飲み物が手に入ります。
でも「甘い飲み物をがぶ飲みするのは危険」という意識は持っておきましょう!
またお子さんでも「ペットボトル症候群」なります!
部活動などで、スポーツドリンクを
がぶのみ!っていう場合は注意が必要です。
ぜひお子様にも、このお話をして
甘い飲み物は、ほどほど!
がぶのみはやめようね!
とお声がけくださいね。
それでは
まだまだ暑いですが
適切な水分の補給をして乗り切りましょう!
あん奈