『かかりつけ医』って何をしてくれる人?

今日は、1月17日です。

阪神・淡路大震災はちょうど31年前の今日のことでした。
私は、ちょうど今のクリニックの場所に住んでいたので、そこで被災しました。
31年後の今日という日を、同じ場所で過ごし、この場所で診療をできていることは奇跡だと思います。
今の自分にできることは
そのことに、心から感謝して今を生きる事かなと思って
気を引き締めて過ごしました。

 

また今日と明日は
共通一次(大学共通第1次学力試験)です。
受験生の皆さまが
ご自身のやってきたことを発揮できますように。
がんばれ〜!!!!

 

はじめに

さて、これまで当院のブログでは、
「家庭医/総合医」と「専門医」の違いについて
折にふれてお伝えしてきました。

・総合医と専門医はどっちも大切?!患者中心の医療。そして、セッティングによる違いも。こちら

家庭医/総合医は、病気だけでなく生活全体を見ながら、幅広い相談に対応するのが得意な医師です。
専門医は、特定の分野を深く診るのが得意な医師です。

そして最近「かかりつけ医」という言葉をよく聞くと思います。

でも、正直、、、『かかりつけ医』って言葉
よくわからないかと思います。
似たような言葉や定義も多く
いろいろな制度や提唱機関が違ったり
実は、医師の側でも混乱しやすい言葉です。

私が現時点で思っている「かかりつけ医」という用語は
医師の専門分野というよりも
患者さんとの関係性を表す言葉です。

・『かかりつけ』とは誰のこと?
あなたには『かかりつけの病院/クリニック』『かかりつけの医師』はありますか?こちら

上記ブログでも
一度、かかりつけ医については書いたのですが

実は今、日本医師会では
『患者さんと相談できて信頼できる身近な医師』
『継続してみてくれる医師』としての
『かかりつけ医』を見える化する目的で
「どこの医療機関がどんな相談に対応できるか」を
分かりやすくする仕組みを作ろうとしてます。

そこで今日は、この機会にいまいちど
『かかりつけ医ってなにしてくれる人?』と題して
『かかりつけ医』について考えてみたいと思います。

『かかりつけ医を持ちましょう』と言われるけど・・・

冒頭でもお話したように
「かかりつけ医を持ちましょう」と言われても
実はこの言葉、少し分かりにくいなと感じる方も多いと思います。

 

かかりつけ医は「何でも一人で診る医師」というわけではない

まず、「かかりつけ医」とは
すべての病気を一人で完璧に治す医師ではありません。
ドラマで、そんな医師を見たら素敵に思いますが・・・

かかりつけ医とは

  • まず患者さんの話を聞く

  • 患者さんの家族のことや今置かれている状況などを把握する。(福祉サービスなど)
  • 今起きている問題を医学的に、そして多角的に評価する。
  • 必要な検査を考える

  • 自院で診れるか否か判断する
  • 必要に応じて専門医や病院につなぐ

  • 検査や入院など終えて戻ってきた後、また継続的に診る

などなど、交通整理役、コンシェルジュという表現が合うかも知れません。

かかりつけ医のやっていること。具体的には?
「体全体と生活をまとめて考える医師」

もう少し具体的に見てみると

  • 生活習慣病の是正にむけて食事運動療法や内服処方を選択していく
  • 他院の内服も含め、薬が増えすぎていないかチェックする

  • どの検査も正常と言われるのに「つらい」症状に一緒に付き合っていく

  • 「生活のこまりごと」を福祉サービスの担当者達と相談して調整していく
  • 将来「こうやって過ごしたい」「心臓マッサージや人口気管挿管はしたくない」など想いを打ち合わせておく

こういうことを、時間をかけて
一緒に歴史を紡ぎながら考える。
ということでしょうか。。。

では専門医は、「かかりつけ医」になれないの??

まず答えからいうと
「専門医の先生がかかりつけ医」ということもあると思います!!!!

おすすめのアタマの中の整理の仕方はこれです。

家庭医・専門医という区別は「医師の専門性の話」
かかりつけ医は「患者さんとの関係性の話」

  • 家庭医 ↔ 専門医
     = 医師側の立ち位置・得意分野

  • かかりつけ医
     = 患者さんが「細々と自分に纏わることを相談する相手」

つまり

  • 専門医であっても、かかりつけ医になることがある
    ある「科」「病気」を患っており、ながくその先生のもとに通っているうちに
    自分を取り巻く環境や自分の想いをとても理解してくださる先生に出会えて
    なんでも相談できる!
    という時は、その先生が「かかりつけ医」と呼べると思います。
    その分野以外の病気の時は、他の専門医の先生に相談したりしながら
    「軸」として診てくださる先生が、たまたま〇〇専門医ということも大いにあると思います。

また、もしかしたら場合によっては

  • 家庭医であっても、〇〇さんのかかりつけ医の立ち位置ではないこともあり得る。
    一方、家庭医というのは「全体を診る」トレーニングを専門としてますが
    一方で、「協調性」といってだれかと協調することで全体として整えることも得意です。
                                                        プライマリ・ケアのACCCAという考え方⑥ 2つ目のC(協調性)について→こちら

なので患者さんによっては、すでにメインの専門医かかりつけがいて
ちょっとした風邪や、ワクチンの接種の時だけ、近くのクリニックで診てほしい
といったニーズの方ももちろんおられます。
私も何人か、血液疾患だったり、「がん」の闘病中、透析中で
やや遠方に「主」となる専門医の先生がいるけど
「熱が出た!」とかいう時は近いので診てほしい!っていう患者様がおられます。

 

だれを『かかりつけ医』にしたらよいか?

さて『かかりつけ医』はだれにしたら良いのか?
あくまで『かかりつけ医』は患者さんが選ぶものです。
登録性でもなければ
場合によっては『複数いる』ということも在るかも知れません。

大切なのは、
「この先生に、まず相談していいと思えるか」
それだけです。

困ったときに最初に相談できる医師がいれば、
それがあなたの“かかりつけ医”です。

病院かも知れないし診療所かもしれません。
あなたに『合う』先生を探してください。

日本医師会のスタンスは・・・

この2026年1月から
日本医師会は
『かかりつけ医』を見える化する目的で
「どこの医療機関がどんな相談に対応できるか」を
分かりやすくする仕組みを作ろうとしてます。

目的は

患者さんが「どこに相談すればいいか」を迷いにくくする

ためだそうです。
それぞれの医療機関が「自分たちは何ができて、何は専門につなぐか」を見える化する制度
を作ろうとしているようです。

この1月に始まろうとして動き出しているところです。
患者さんにとってプラスになる仕組みになれば良いなと思っております。

おわりに・・・

さて今日は
『かかりつけ医』について少しお話しました。

私としては
それぞれの人が
『健康のことで困ったら気軽に相談にいってみよう!』と
思える場所があればよいなと思っております。

福祉のサービスの方にとっても
健康に纏わる問題が出てきたら
『そうだ!あの先生に相談に行っていよう!』と思い浮かぶ医師がもっと増えると良いなと思っております。

そしていつも
これは折に触れて話すことですが
総合医とか専門医とかの枠組みを超えて
各医師が得意な分野をおおいに発揮しあいながら気軽にコンサルトできるフラットな関係であることが
本当に必要だと思っております。

幸い私は現在お陰様で
周りの後方病院や各専門の先生方にとても助けて頂いております。
そのおかげで
私たちのような小さなクリニックを『かかりつけ』にしてくださっている患者さんに
うちに軸足をおきながら、ここを窓口に適切なところへ必要な時はお繋ぎして
安心の医療を提供できていると思っております。

かかりつけと地域の医療連携はセットで
地域の医療の質を高めていること・・・・
実感する毎日です。

ありがとうございます。

各セッティングで医療、福祉を支えてくださっている皆様に感謝して
明日からも診療を続けてまいります。

あん奈 2026.1.17

 

過去の参考ブログ

・総合医と専門医はどっちも大切?!患者中心の医療。そして、セッティングによる違いも。→こちら

総合医と専門医はどっちも大切?!患者中心の医療。そして、セッティングによる違いも。

・『かかりつけ』とは誰のこと?あなたには『かかりつけの病院/クリニック』『かかりつけの医師』はありますか?→こちら

『かかりつけ』とは誰のこと?あなたには『かかりつけの病院/クリニック』『かかりつけの医師』はありますか?

 

・プライマリ・ケアのACCCAという考え方⑥ 2つ目のC(協調性)について→こちら

プライマリ・ケアのACCCAという考え方⑥ 2つ目のC(協調性)について