【禁煙外来】禁煙外来で使用するお薬(禁煙補助薬)をご説明します。

はじめに

禁煙成功するかどうかは「意志の強さ」だけで決まるわけではありません。
「ニコチン依存症の治療」で成功率を高めることができます。

現在、保険診療で使用される主な禁煙補助薬は以下の2つです。

  • チャンピックス®(バレニクリン)
  • ニコチネルTTS®(ニコチンパッチ ニコチン代替療法)

すごく簡単に言うと

  • チャンピックス®
    タバコが美味しく感じなくなるお薬
  • ニコチネルTTS®
    ニコチンを別ルートで摂取しながら、禁断症状をやわらげつつ
    喫煙習慣を辞めていくお薬

です。

今日は、それぞれの禁煙補助薬にどのような特徴があるのかご説明します。
もし、これから禁煙してみよう!と考えておられる方がおられたら、参考にしてみてくださいね。

さて、なぜタバコは簡単にはやめられないのか?
2種類の依存症・・・
ニコチン依存とは?

タバコが止めにくいのは
『心理的な依存』『身体的な依存』の2つ依存があると言われています。

●『心理的な依存』

心理的な依存というのは
喫煙が生活の一部になってしまって
いわゆる『タバコがないと手持ちぶさた』と言われるものです

 

●『身体的な依存』(ニコチン依存)

一方、身体的な依存というのは
いわゆる『ニコチン依存』
タバコの中に含まれるニコチンが、大脳の快楽中枢に作用することで引き起こされます。

もう少し具体的な話をすると
タバコに含まれる『ニコチン』
脳にある「ニコチン受容体(α4β2)」に結合
ドパミンという『快感物質』を放出させます。

これにより
「タバコを吸うと気持ちいい → また吸いたい」
というニコチン依存が形成されます。

ニコチン 身体依存

このような二種類の依存により
タバコを辞めるというのは簡単な事ではないと思います。

さて、禁煙補助薬のしくみは?

さて、それでは禁煙補助薬というのは
どのようなしくみで禁煙に導くのでしょうか?

禁煙補助薬は、身体的な依存、つまり
『ニコチン依存症』の治療薬です。

身体的な、ニコチン依存症を治療することで
心理的な依存も徐々に取れていき
最終的には禁煙に成功することができるように
設計されています。

  チャンピックス® ニコチネルTTS®(ニコチンパッチ)
作用 ニコチン受容体(α4β2)に部分的に作用(部分作動薬) ニコチン補充
コンセプト ニコチンの代わりに受容体に結合することで
少量のドパミン(快楽物質)を出し
また、本物のニコチンの結合はブロックする。
喫煙以外の方法でニコチンを取り入れながら禁煙する
喫煙時 美味しく感じない
効果 ◎(高い)
適応 中〜重度依存 軽症・不安強い

 

☆この他にも、ニコチンガムなど薬局でご自身で購入できるものもあります。

様々な禁煙補助薬

チャンピックス®(バレニクリン)

●作用機序

ニコチン受容体に部分的に作用する薬(部分作動薬)

チャンピックス

引用 :ファイザー社 禁煙治療ガイドより

チャンピックス®は、ニコチン受容体(α4β2)に結合することで

①ニコチンの結合をブロック → タバコを吸っても満足できない
②少量のドパミンを出す → 離脱症状を軽減

という2つの作用で禁煙をサポートします。

 

●用法用量(通常)

チャンピックスの用法用量 

 

チャンピックス®の具体的な用法用量はこの様になっております。

1–3日:0.5mg 1回/日
4–7日:0.5mg 2回/日
8日以降:1mg 2回/日

そして、『開始1週間後に禁煙開始』となります。

●腎機能低下時(重要)

チャンピックス®は、腎排泄のため
腎機能に合わせて用量調節を調整します。

  • eGFR ≥30 → 通常量
  • eGFR <30 → 最大 0.5mg 2回/日
  • 透析 → 0.5mg 1回/日

●メリット

  • 禁煙成功率が最も高い
  • タバコを吸っても、以前のように満足できなくなる → 行動変容が起きる

チャンピックス®のメリットとしては、禁煙成功率が高いところです。
タバコを吸っても
ニコチンを受容体に結合することができないため
以前のようにタバコから得る満足感を得にくくなります。
吸っても、満足感が得られないことで辞めることができる方が多くいらっしゃいます。

●デメリット

  • 嘔気(最も多い)
  • 便秘
  • 不眠・異夢
  • 頭痛
  • うつ病、統合失調症などの精神症状を悪化させる懸念がある。(大規模試験で有意なリスク増加なしとも言われているが)
  • ぼーっとする。

チャンピックス®の主な副作用は
嘔気(吐き気)です。
嘔気を楽にするためには
・必ず『食後』に内服する事と
・必ずコップ1杯の水で服用することです。

飲み始めの1〜2週間が一番多いとされており
自然に治まってきます。
症状が強い場合は吐き気止めを処方したりもします。

不眠が気になる場合、夕食後の服用を
少し早めの時間にするのが効果的な場合があります
ひどい時は夜の服用を止めたりしながら対応して参ります。

★また、チャンピックスの服用中は、自動車の運転など危険を伴う機械の操作を避けることが基本とされています。
チャンピックスにはめまいや眠気といった副作用の他に
ぼーっとするなど意識障害が生じるおそれがあります。
車の運転中や危険をともなう機械の操作中に発生した場合、思わぬ事故の原因となります。

ニコチンTTS®(ニコチンパッチ ニコチン代替療法)

●作用機序

ニコチンをパッチの形で皮膚に貼ることで
皮膚からゆっくり吸収されるよう設計されています。

これにより血中濃度を安定させ
特に禁煙開始時に現れるつらい離脱症状(イライラするなど)を軽減し
禁煙を成功み導くお薬です。

●用法

下記のように
高用量 → 中 → 低へ漸減(8〜12週間)していきます。

 

ニコチネルTTSスケジュール

ニコチネルTTS® 禁煙ガイドブックより→こちら

 

●メリット

一般的に副作用も少なく、安全性の高い禁煙補助薬と言えます。

  • 副作用が少ない
  • 使いやすい
  • 安全性が高い

●デメリット

禁煙成功効果は、チャンピックス®より少ないとされています。
また、ニコチンを少量ですが摂取しているので
喫煙と同じく
狭心症など心臓の悪い方
脳卒中を起こしたことのある方
妊娠中、授乳中は摂取しない方が良いお薬ではあります。
また、喫煙しながらパッチを貼ると、ニコチン過剰摂取になります。

  • 効果はチャンピックスより弱い
  • 「吸いたい欲求」は残る
  • 皮膚に貼るため、かぶれる事がある
  • ニコチンを少量だが摂取している

 

おわりに

禁煙は「我慢」ではなく
「ニコチン依存症の治療」です。

患者さんに合った方法を選ぶことで、成功率は大きく上がります。
是非
ご自身にあった禁煙補助薬を使用しながら
禁煙頑張りましょう!

 

参考文献

  1. Cahill K, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2016
    (バレニクリンはNRTより禁煙成功率が高い)
  2. Anthenelli RM, et al. JAMA. 2016(EAGLES trial)
    (精神症状リスク増加なし)
  3. 日本循環器学会 禁煙ガイドライン
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット 禁煙
  5. チャンピックス添付文書(ファイザー)
  6. UpToDate: Pharmacotherapy for smoking cessation

参考サイト

・厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp

・日本禁煙学会
http://www.jstc.or.jp

過去の参考・関連ブログ

・禁煙外来を始めました!一緒に頑張りましょう☆→こちら

https://www.yy-clinic.jp/info/smoking-cessation-outpatient-clinic2026-02-01/