【子宮頸がんワクチン】16歳で公費負担で接種したい場合は、初回は9月までに接種する必要があります!!夏休みでの接種もご検討ください☆

 
こんにちは。
子どもたちの夏休みが始まりましたね。
保護者様、諸々お疲れ様です。
 
さて、このブログでもたびたび 取り上げている「子宮頸がんワクチン」
最近 TVのCMでもよく流れてきますね。
 
さて「子宮頸がんワクチン」の
定期接種(公費負担がある)の対象年齢は
小学校6年生〜高校1年生相当の女子です。
 
HPVワクチン定期接種
                              MSD HP→こちら
 
下記のように3回接種で完了ですので
 
高校1年生の女子が公費ですべて接種するには
1回目を9月までに接種する必要があります!!!
 
もし接種を検討中の方は
夏休みを利用して接種もご検討くださいね。
 
今日は今一度
「子宮頸がんワクチン」ってどういうもの??というのを書いてみたいと思います。
 
そのうえで
接種を希望される方は
まずはお電話いただけたらと思います。
 
 
 
 
子宮頸がん シルガード9

 

 

子宮頸がんとは???

子宮頸がんとは、子宮の出口に近いところにできるがんです。

子宮頸がんになる原因は、上記の通り

HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが関係していることがわかっており
このウイルスは性交渉により感染します。

そこで
初めての性交渉の前に
予防接種をすることで
子宮頸がんを撲滅しようというのが
この子宮頸がんワクチン狙いです。

 

厚生省ホームページ リーフレット

HPVワクチンと子宮頸がん検診どちらも大切

もちろん
予防接種のみで100%子宮頸がんが発症しないというわけではありません。

ワクチンで予防し得ない型による子宮頸がんもあるため
早期発見のための子宮頸がん検診もとても大事です。

また、もしもうHPVにかかっていても
密に子宮がん検診をうけて
早期に子宮がんに対する加療ができることも知られております。

ワクチン接種と検診二本立てで子宮頸がんから身を守りましょう。

HPVワクチンと子宮頸がん検診の大切さイメージ図 厚生省ホームページ リーフレット

20歳になったら、子宮頸がんを早期発見するために、子宮頸がん検診を定期的に受けることが重要です。

ワクチンを接種していても、2年に1回子宮頸がん検診を受けましょう。

 

HPV(ヒトパピローマウイルス)の種類

さてヒトパピローマウイルスには「型」がたくさんあります。
でも子宮頸がんに関わる型は、「16型」と「18型」と言われております。

現在日本で使われているワクチンは主に3種類です。
下図のように、それぞれ、同じHPVワクチンでも予防できる型が違います。
すべてのワクチンが 「16型」と「18型」は予防してくれております。

シルガード9®について

基本的は、現在は一番多くの型を予防する「シルガード9®」を使用することが多いです。
なのでここからはシルガード9®を念頭に説明します。→こちら

 

●接種対象年齢と性別は?

接種できるのは、9歳以上の男女が対象です。
本来は男の子から性交渉でうつるので男の子も接種したほうが良いです。
男性にも肛門がん、咽頭がん、陰茎がんの予防としても意味があります。

でも定期接種(公費負担で接種できる)のは
小学校6年生〜高校1年生相当の女子のみです。

性交渉によりウイルスの感染するので、可能ならば性交渉歴がないうちの接種がおすすめです。
(ただ性交渉後のワクチン接種に意味がないわけではありません。後述Q&A参照)

 

●接種間隔とスケジュール

接種回数とスケジュールは、年齢によって異なります。

 

シルガード9の接種方法

任意接種の場合の価格
(参考です。時期やクリニックによって異なります。)

定期接種の時期を越してしまうと、自費になりますので要注意です。(結構高額です。)

余裕を持った計画で可能なら公費で3回受け終わるようにしましょう。

自費(任意接種)の場合の価格を参考までに載せておきます。
(多少変動がありますので、直前にご確認いただけると幸いです。)

・「サーバリックス(2価)」  19800円/回

・「ガータシル(4価)」    19800円/回

・「シルガード(9価)」    35200円/回

 

 

男子のHPVワクチンの接種

先程も少しお話しましたが
HPV感染は男女間で感染を繰り返すため
男女にワクチン接種をすることで感染の広がりを抑えることができます。

またHPVは子宮頸がん以外にも、中咽頭がんや肛門がん、陰茎がんなど男女を問わず様々ながんの原因になります。

 

男性のワクチン接種の目的は、
男性本人のHPV感染による病気の予防とともに
自分が感染源とならないことで将来のパートナーを子宮頸がんなどのHPV感染症から守ることがあります。

 

実際に男子へのワクチン接種は多くの国で推奨され
アメリカ、イギリス、オーストラリアなど20か国以上の国で公費接種が行われています。

但し、今のところ、任意接種ですので自費になります。

 

 

HPVワクチンの副反応について

HPVのワクチンの副反応としては
主なものは
接種部位の疼痛、発赤、腫脹
です。

 

●「接種の積極的な勧奨」の一時中止(2013.6月)実質的な再開(2021年2月)という歴史

HPVワクチンの歴史にも触れておかなくてはなりません。
2013年4月に予防接種法に基づきHPVワクチンは定期接種になりました。
しかし、その僅か2ヶ月後にワクチン接種後の痛みや不随意運動の副作用のリスクが懸念されたために
厚生労働省は積極的接種勧奨を取りやめ、接種率は70%から1%にまで激減しました。

以下をご参照ください。

●各方面の意見

積極的な推奨が一時中止されて約8年間そのまま積極的な推奨はされていない状況でしたが一方で
HPVワクチンを接種推奨している
諸外国に比べて子宮頸がんの発生を抑え込めていない現実があり
各方面から、ワクチンの有効性について支持する意見と再開を望む声が上がっておりました。

・海外団体からの意見

2015年12月、WHOが「若い女性が本来予防しうるHPV関連がんのリスクにさらされたままとなっている
日本の状況を危惧し、安全で効果的なワクチンが使用されてないことにつながる現状の政策決定は、真に有害な結果となり得る」と警告しました。
実際諸外国では、HPVの感染やそれによる子宮頸がんの発生を撲滅にまで抑え込んでいる国もたくさんあります。

 

・国内関連学会からの意見

2016年4月、予防接種推進専門協議会から、小児科学会、産婦人科学会、日本プライマリケア連合学会、参加学会の15団体および2学術団体を合わせた17団体連名で「ヒトパピローマウイルスワクチンの積極的な接種を推奨する」と声明を発表しました。

 

こうした変遷を経て、2021年2月より接種の積極的な勧奨」の実質的な再開に向けて動き出しました。

参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000680905.pdf

 

 

 

●安全性についての調査

厚生労働省は、安全性の調査を国民に提供しています。→こちら

 

●予防接種ストレス関連反応について

2019に、WHOにおけるワクチンの安全性に関する諮問委員会により提唱された概念です。
今回の、HPVワクチンのことだけではなく
あらゆる年代のあらゆるワクチンにより生じる反応とされ
特に若い年代の特に女の子で
予防接種が「こわいな〜」という気持ちが強いと
予防接種によるストレス反応として、様々な症状が出る
という考え方です。

ぜひ
こういった背景ご理解し
多方面から情報を収集し
ご納得いく形で
接種するかどうかご判断くださればと思います。

 

 

 

よくあるQ&A

 
ガータシルを2回接種したのですが、3回目は「シルガード9」にしたいのですが? NEW!!
原則として途中でシルガード9に変更することはできません。 各HPVワクチンの互換性に関してはデータがなく、安全性や接種後の有効性も実証されていません。 その為、HPVワクチンは同じ種類で3回の接種でお願いしてました。 しかし2023.4月では、医師と相談して交互接種も可能になりました。→こちら
 
性交渉の経験があれば、子宮頸がんワクチンはもう意味がありませんか?
確かに、HPVワクチンは、すでに感染してしまったHPVを排除する効果や、発症してしまったHPV関連疾患の進行を止める効果はありません。 その為、性交渉未経験のうちに接種を終えておくとワクチンの効果が最も期待できます。 でも、すでに何らかのHPVを有している人でも、全ての型のHPVウイルスにかかっているということは考えにくいのです。 ワクチンにより別の型のHPV感染を予防することは可能ですので、接種の意義はあり、接種期間中の性交渉を禁止することもありません。
 
HPVワクチンの接種に年齢の上限はあるの?
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は26歳まではHPVワクチン接種を推奨しています。 27歳以上については、個々のライフスタイル(性交渉歴など)によって異なります。 HPVワクチンは、すでに感染しているHPVには効果がありません。 接種して以降の新たなHPV感染を防ぐための接種です。 今後新たなパートナーができる可能性がある場合には接種の意義があるといえるでしょう。
 
妊娠してますが、接種できますか? / 途中で妊娠しましたがどうしましょう?
シルガードは妊婦さんへの接種は安全性が確立しておりません。その為、妊娠中の接種は推奨されません。 もし接種途中で妊娠が判明した場合も、続きは出産後まで接種を延期してください。 再開する時は、最初から接種をやり直す必要はありません。出産後に続きを接種しましょう。

 

 

終わりに

さて、今日は子宮頸がんワクチンのお話でした。

もし高校1年生の女子で
子宮頸がんワクチンを公費で接種したいという方がおられましたら
9月までに初回接種をご検討くださいね。

 

さてワクチンをとりまく状況は日々変わります。

当院でもなるべく最新の情報をお伝えしますが、もし古い記事を載せていたら 教えていただけたら嬉しいです!!    

2022.6 初回投稿
2023.3  追記
2023.4 追記
2025.7  変更 追記

 

あん奈