よくある疾患シリーズ〜貧血について① 全般について〜

こんにちは。
最近はなかなかブログ更新できておらずすみません。

今日はよくある疾患シリーズを久しぶりにお話ししたいと思います。
今日のテーマは、「貧血」です。

貧血、ヒンケツ・・・・・

この言葉は、市民権を得ているので、皆さんもよく使われるのではないでしょうか?
でもなかなか、本当の意味の「ヒンケツ」を的確に説明するのって難しいものです。
中には、『フラっとする』『気を失いそうになった』という意味で『ヒンケツを起こした』とおっしゃる方もおられます。

実はそれは、いわゆる「貧血」とは違います。

貧血

 

貧血とは?

貧血のイメージ

 

さて血液はどこで造られるでしょうか?
血液は、「骨髄」つまり骨の中で作られます。
血液は、血球成分と、血漿成分(水気の部分)に分けられます。
血球というのは、血液の球と書きますが、大きく分けて、「白血球」「赤血球」「血小板」に分けられます。

貧血というのはこの中でも「赤血球」に関することです。
赤血球の中には、「ヘモグロビン」という物質があります。
このヘモグロビンは、ヘモグロビンは主にを含む「ヘム」という色素と
たんぱく質が結合(ヘムたんぱく質)してできています。
このヘモグロビンの役割は酸素と結合して全身に、酸素を運ぶことです。

このヘモグロビンは「H b」と表記します。
そして「ハーベー」とよんだりします。

そして貧血というのはこのヘモグロビンが

男性<13g/dl   女性<12g/dl

と定義づけられています。

貧血の原因は?

さて、ではどういう時に貧血になるのでしょうか?

貧血の原因は、「出血」「赤血球が壊れる」「赤血球が作られない」「その他」など
に分けることができます。

貧血の原因

Causes of Anemia

「出血」があれば血が少なくなるというのはなんとなく直感的に分かりやすいかと思います。
目で見えるところの出血であれば分かりやすいですが、そうでない場合は
腸の中に出血していないか?(消化管出血と言います。)
気管支の中に出血してないか(喀血)
婦人科系は?筋肉の中ではないか?と出血している場所を探しにいく必要があります。

●次に「赤血球が壊れる」これも貧血になります。
血球が壊れることを「溶血」と言います。
なので医学用語では、この貧血を「溶血性貧血」と言います。
なんらかの原因で血管内で赤血球が壊されてしまう病気があります。自分で自分の血球に対して抗体を作ってしまうものなんかがこれに当たります。(自己免疫性疾患)と言います。

●次に「赤血球が作られない」とは・・・

★まずは赤血球を作るのに必要な、材料が足りない場合
「鉄の不足」「葉酸の不足」「ビタミンB12の不足」
などが有名です。

特に鉄が足りない貧血を「鉄欠乏性貧血」は頻度が高く
通称、「テツケツ」とよんでおります。

女性は月経があります。
月経は出血の一つですが
月経のたびに鉄を失い「鉄欠乏性貧血」を起こしています。

また、腎臓が悪いと、エリスロポエチンという赤血球を作るのに必要な物質が作れないためこれまた貧血になります。(腎性貧血と言います。)

★また血を作る場所の骨髄の問題があっても「赤血球は作られなく」なります。
骨髄に問題がある場合は、専門科である「血液内科」の先生にお願いすることになります。

 

●その他

その他には慢性的に炎症がある状態(感染症)癌がある状態などでも、鉄はあるのに利用できなかったり、赤血球の寿命が縮んだりして貧血になります。

 

貧血だとどんな症状があるの?

さて、貧血になるとどんな症状があるのでしょうか?

ヘモグロビンが少ないと酸素を体の隅々まで巡らせることが難しくなります。

すると、脳にも酸素がいかなくなります。

なので「めまい」「立ちくらみ」などの症状が出現します。

酸素を運べなくなるので「息切れ」をしたり、心臓が代わりに頑張って回そうとして「動悸」をしたりするかもしれません。

また出血などの急激な貧血の進行は、血圧が下がり、意識を失うこともあります。

逆に、ずっと貧血が続いていると「なんの症状もない(慣れてしまっている)」人もいます。

 

どうやって診断していくのでしょうか?

どんな時でも、今の状態が命に関わるかどうかは

血圧、脈、体温、呼吸数などをチェックします。
これらの指標は、「バイタルサイン」と言います。
命と関わる大事なサインですので、真っ先にチェックします。
血圧が下がったり、脈が速かったりと緊急事態であれば、すぐ救命処置を行い
大きい病院へ救急搬送となります。
逆にそこが落ち着いていれば、ゆっくり原因を調べることができます。

先ほど原因で挙げた
「出血は?」「赤血球壊れてないか?」「赤血球が作れないような不足している成分があるか?」「その他の問題がないか」を一つづつ見ていきます。

そのために、追加採血を行います。

採血

貧血なのに、さらに血を取られるの?とおっしゃる方がいます。(案外多いです)
そんなに失血するほどは取りませんのでご安心くださいね。

さて、我々が鑑別していくとき
赤血球の球が、小さいか(小球性)、正常(正球性)か、大きい(大球性)かというところが
診断の糸口になります。そこから、足りない成分は何か、血球が壊れた後はあるか?、骨髄は他の血球も含め正常に作れていないことはあるか?腎臓は元気か?を診て参ります。

もし出血してそうだとなれば出血源を探すために
胃カメラ大腸カメラ婦人科検診どへと進んでまいります。
当院は胃カメラなどはできないのでご紹介になります。

骨髄の問題を疑うときは、骨髄穿刺と言って骨髄を取って、調べる検査に進んでいきます。
この場合も専門の先生にご紹介します。

 

ご自宅で簡単にできる貧血のチェックとしては
下まぶたをめくってみてみましょう。真っ白だったら貧血を疑います。
でも見慣れてないと果たしてこれが白いのか?悩まれるかもしれません。
分かりにくかったら、診察の際にでも「これって貧血ですか?」と相談してくださいね。

よくある、「鉄欠乏貧血」(テツケツ)とは?

さて赤血球を作る材料の一つ、「鉄」

鉄が足りない!!=鉄欠乏貧血はかなりの頻度です。

氷をバリバリ食べたくなる
というやや変わった症状があることもあります。

長くなってきましたので

ここはまたここだけでしっかりお話ししたいと思います。

 

治療は?

治療としては、原因によって異なります。

原則は

・出血は止める

・破壊は食い止める

・足りないものは補充する

です。

それぞれ出血部位、問題がある部位に合わせた診療科へご紹介して
専門的な治療が必要なこともあります。

足りない成分を補うだけで良さそうなら、鉄剤、ビタミン剤など処方を行なっていきます。

 

さいごに・・・

最近、立ちくらみする、動悸息切れするというような時はぜひ一度血液検査にいらしてください。

また健診で、ずっとほっといている貧血はございませんか?
なんとなくしんどいのはそのためかもしれません。
治せるところは治して楽になっていただきたいと思います。

 

今日は、「貧血」について簡単に説明しました。
どこかで採血する機会があれば、「Hb(ハーベー)はいくつかな?」と注目してみてください。

安奈Dr

 

あん奈