もの忘れ(認知症)がある方との付き合い方②(周辺症状って何?)

こんにちは。

紫陽花がいたるところで綺麗に咲いていますね。

この紫、すごく好きな色合いです。

自然の中にこんな美しい色があるなんてうっとりしてしまいます。

綺麗な色。。。

紫陽花の写真1

 

紫陽花の写真2

 

 

さて、前回に引き続き、今回も認知症がある方との付き合い方についてお話ししたいと思います。

前回は「そもそも認知症って何?」というお話をしました。

今回はその続きです。

「周辺症状」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか?

最近ではBPSD(Behavior and Psychological Symptoms of Dementia)と呼ばれるようになっています。

 

【過去の記事】

・もの忘れ(認知症)がある方との付き合い方①(そもそも認知症って何?)→こちら

 

 

 

中核症状と周辺症状のイメージ図

簡単に認知症の中核症状を振り返ると(おさらい)

簡単に、認知症を認知症と診断する所以である中核症状とは何か

振り返りたいと思います。

①記憶障害(記銘力)

記憶障害の中でも、記銘力といいますが、新しいことを覚えるのがとても苦手です。

比較的昔のことは覚えていたり、

②判断力低下

何かを判断するということも苦手になります。

 

③見当識障害

自分が今どういう時代にいて、どこにいて、、ということが曖昧になってきます。

 

今日は、周辺症状(BPSD)とは何かというところに入っていきます。

さて認知症の認知症たる所以の中核症状である

・記憶(記銘力)の低下

・判断力低下

・失見当識

がベースにある状態の人に、

例えば体の不調がある、不安がある、ストレスがあると、どうなるでしょうか?

この場合に現れる諸々の症状を「周辺症状」(BPSD)と呼びます。

様々な状態が現れます。

 

中核症状がある状態でストレスを受けると、、、

さて、想像してみてください。

 

自分が

今日ご飯を食べたかどうか?

この話を人にしたかどうか?

そして今日が、何年何月何日で、今自分がどこにいるのかも曖昧

な状態を。。。。。

 

そんな時、

例①

例えば、置いていたはずのところに財布がありません。

普通なら冷静に考えて

(昨日、お買い物行く時使ったでしょ。。えっとカバンの中かしら?)なんて判断するはず。

でも判断力が低下しているので

いつも来てくれる、一番信頼しているはずの娘に疑いの目が向けられてしまって

娘がとったんちゃうか???と思ってしまう、、、

 

→とられ妄想??

 

例②

例えば、元々バリバリの仕事人。

定年以降の記憶が曖昧です。

自分はもう80歳で定年していて仕事はしてない。

というのは、、本当にそうだったか曖昧です。

そこで唐突に

あれ?仕事に行かないと!と思うわけです。

夜中であっても夜中かどうかよくわかりません。

着替えて出て行こうとする。

さて何を着よう?スーツが見当たらない。

判断力の低下から

チグハグに見える服を着てしまう。

それでもなんとか着替えて

「仕事に行ってくる」と家を出ようとすると、、、

家族にすごい勢いで止められる。

本人としては、なんで?なんで?仕事に行くだけなのに?と混乱してしまう。

怒る!

→易怒性?徘徊?

 

このように、家族やケアマネさんがが「困ってる!!」「認知症だと思う!!」という症状の多くは

中核症状そのものより

中核症状があるがゆえに、その人が色々なことにぶつかって

それに対応しようとしている行動に困っているということが多いです。

これを、いわゆる中核症状と対比して、周辺症状、BPSD(Behavior and Psychological Symptoms of Dementia)呼びます。

中核症状と周辺症状のイメージ図2

周辺症状(BPSD)の中には、「陰」と「陽」があります。

 

周辺症状には、「陰」と「陽」の症状があります。

「陰」と出るか「陽」と出るかは

その人によったり、その人の認知症を起こしている疾患の特性によります。

あまり「陰」が問題になることはありませんね。

それはあまり介護に困ることがないからです。

どちらかというと、食事を摂らないなどで家族が心配して受診されます。

切羽づまって相談に来られることは少ない印象です。

一方、「陽」の症状は、近くでみている方から「困ったなあ」と思われてしまいます。

 

さて、「陽」の症状はどうしましょう?やっぱりお薬??

さて、その「陽」の症状はどうしたら良いのか?

前回少し触れましたが、認知症のお薬として病気そのものを治しますよ!ってお薬は今までなく、新薬の効果を期待したいところです。

また中核症状について、進行をゆっくりにするというお薬が数種類あります。ただ効果は限定的と言われます。

そしてこの周辺症状が問題になるときには、いわゆる「落ち着かせる」お薬があります。

 

勘違いして欲しくないのは

この手のお薬は

決して周りが楽になるから、薬でおとなしくさせておこう!っていうニュアンスで使うお薬ではないということです。

 

あくまで、本人がどうか、、

本人が怒って怒って興奮して辛そうなら少しでも本人が楽になるように使用します。

 

 

お薬じゃなくても。。。周辺症状は緩和できる!!!

 

そして、実はお薬を使用しなくても

周りの接し方でもかなりこの周辺症状を緩和することができるんです。

「支持療法」と言われますが

本人に「安心」「安全」だなと感じてもらうと

不思議なほど周辺症状が落ち着きます。

本当に不思議です。

記憶障害があるのですが、驚くほど

「快」「不快」は覚えておられて

「この人といると落ち着く!」「この人はいい人だ!!」というのを感じ取って

しっかり覚えておられます。

 

だから周りの接し方が上手だと

中核症状がどんなに進行しても

周辺症状はあまり問題ない!!という方たくさんおられます。

結果的に好循環で介護も楽になっていきます。。

 

じゃあ、どうやって接すればいいの?

 

じゃあどうやって接すればいいの???

そんな声が聞こえてきそうです。

実際、認知症の方を介護しているご家族、施設の方の大変さは近くで今までたくさん見てきて

「先生、そうはいうてもこんなに徘徊されたら仕事になりません!!!」と言われることもあります。

もちろんわかります。

簡単なことではないですね。

 

実際イライラ当たってしまうこともありますよね、、、

また家族なら余計、、、、

 

でも、認知症の方の中核症状の特性を考えれば

なんで今その方がその行動をとったのか了解可能なことが多いです。

 

ここで、

「正しいこと」にこだわって

「あなたが違う!」(「もう、ご飯食べたでしょ!!」とか「もう仕事なんか辞めたでしょ!!!」とか)

「間違っている!」(「今日は六月でしょ!!!」)

「その考え方はおかしい!!」(「私がお財布盗るわけないでしょ!!」)と

ぶつかってしまうと

作用反作用の法則で、

その方としては「不快」になり不穏になったり、怒ったりするのは当然です。

 

認知症の方が形成している世界を理解し大切にする。

その世界と現実のギャップを感じさせないようにする。

ここら辺にうまく付き合うコツがありそうです。

次回はここら辺を丁寧にお話ししてみたいと思います。

 

長くなってきたので、今日は一旦ここで。。。

あん奈