真夜中の独り言シリーズ〜ココロハシンデイナイ〜

水曜日の午後は外勤に行っております。
救急室での勤務です。

普段のクリニックとは異なる家庭医の一面で
私にとっては大事な一コマです。

 

さて今回の独り言は
伝え方が難しくて
書くか迷ったのですが。。。

 

私の大事な患者さん、当院のスタッフの中にも
いつもこのブログを読んでくださる読者がおられるので
やっぱりちょっと思っていることを
伝えれたらと思って書いて見ます。

 

真夜中の月

先日、外勤先の外来で
初対面の患者様に
結構辛いことをご説明しないといけない
という出来事がありました。

普段元気な方が
倦怠感で受診されたのですが
私の診察で
進行した癌が見つかりました。

 

私は最近は
しばらくそのような場面は
幸い機会がないまま経過しており

 

もしくはそういう大変なことをお伝えするまでには
しっかり患者ー医師関係が築けてから
お互いの準備ができた状態でということが多かったのですが
久しぶりに、
ほぼ初対面なのに
大変なことをお伝えするという瞬間でした。

 

以前、三次救急で勤務していた時は
のべつまくなし重傷者が運び込まれるので
比較的頻繁にそういうことはありました。

もちろんそれだからと言って
慣れることは決してなく
その時も毎回、初対面でこんな話はきついなあと思っておりました。

でもすごく久しぶりで、不意にその瞬間に直面したので
特別に
すごくこたえました。

 

なぜなら
救急は一期一会ですが
そのご本人、ご家族にとったら
この瞬間というのは
今後一生残るに違いないです。

 

「初めまして。本日の救急を担当している山本と言います。
 初めてお会いしたのに、今日は非常に残念なことをお伝えしないといけません。」

 

救急室は混んでいましたので
空いている診察室をお借りして
なるべく
わかりやすい言葉で
繰り返し
繰り返し
お伝えしました。

ご家族の動揺が激しく私もかなり心を消耗しました。

 

一緒になって
心が苦しかったし
悲しかったです。

さらに救急は
今後の処置の選択、延命の選択など
迫られます。

こんな大事なことを
初対面の私がするのは
やはり
違和感がありました。

やはり
今後どうしたいか、
どうやって生を全うしたいか
というのは
時間の余裕の中で
かかりつけ医とゆっくり
「もしこういう時は、、」という話を積み重ねていくのが筋だろうと強く思いました。

 

勤務を終え
疲労感で
とぼとぼと医局に向かう私に

看護師さんが
「せんせーー!!お疲れ様でした!!」
と笑顔で駆け寄ってきてくださりました。
少し雑談をしてましたがすぐに
「なんか元気なーーい!」
ときずいてくださいました

「いやあ、今カクカクシカジカで。。。。」
っていうと
その看護師さんが、
満面の笑顔で

「そりゃあ!先生は心がシンデナイモーン!血が通った人間だもん!!!その、患者様、ご家族様は先生が担当で良かったと思うよ!!」

と言ってくださいました。

 

ココロガシンデナイ。
ココロガシンデナイ。

センセイハココロガシンデイナイ。。。

 

涙が出ました。とてもありがたかったです。
私、ココロがシンデナイから悲しかったんだ。
そう思ったら悲しいことは
決して悪いことではないと思いました。

 

看護師さんに
心から
ありがとうと言いたいです。
そうです。
医療者もココロが生きています。
患者さんが、治ったり、落ち着いたり、日常でいいことがあると嬉しいです。
逆に患者さんが、痛い、辛い、苦しい、悲しいと悲しいです。

 

私たち医療者は
そういう気持ちで
いつも患者さんに接しております。
だから懸命になれるのだとも思いました。

 

うまく言えませんが

これからも
患者さんお一人お一人に
「よりそって」過ごさせていただけることに感謝して
前に進んでまいります。

 

皆様がそれぞれのことを抱えながらも
日々、笑顔を忘れずに過ごされることを
本当に願っております。

これからもよろしくお願い致します。

あん奈