さて、足も診せてくださいね。足の爪、伸びていませんか?

私の所属している日本プライマリ・ケア連合学会(→こちら)では
実践誌『プライマリ・ケア』が発刊されます。私はいつも手元に届くのを楽しみにしております。
少し前に プライマリ・ケア 春号(vol.9 No2 2024)が届きました。

たくさんの
ためになる連載がありどれも待ち遠しいのですが
その中の一つに
『病院総合医チーム Presents 実践!使える論文 My Top 5』
というコーナーがあります。

プライマリ・ケア 春号

私はこのコーナーのファンでして
皆さんの厳選した論文を紹介いただき
実際に手に入るものは、読んでみるのが楽しみの一つです。

 

今回教えていただいた中にも
これは興味深いなと思ったものがたくさんあったので
その中の一つをご紹介したいと思います。

高齢者の診察では、足の爪を診ましょう!

James K, Orkaby AR,Schwartz AW.
Foot examination for older adult
(Am J Med.2021 Jan;134(1):30-35.)
PMID:32805226 →こちら

 

こちらの論文では
ご高齢の患者さんの足をしっかり診ましょう!

というお話でした。

少し本文を紹介しますと

●足の爪を切るという行為は、実は色々な事が整わないと難しい
●爪が伸びていれば身体能力の低下かもしれない!

Cutting toenails requires the ability to bend over, adequate visual acuity, and fine motor skills.
足の爪を切るには、かがむ能力、十分な視力、細かい運動技能が必要である。

●足の爪は、1ヵ月に1~2mm伸びる。
●足の爪が長いと、下肢の身の回りの世話の能力が低下しているのかも!?

The mean rate of growth of toenails is 1–2 mm per month and detection of long toenails may suggest a decreased ability to complete personal care of the lower extremities.

足の爪の平均成長速度は1ヵ月に1~2mmであり、足の爪が長いということは、下肢の身の回りの世話の能力が低下していることを示唆している。

私は、介護認定審査会のメンバーですが
介護保険の要支援、要介護を決める資料の中の
市役所の方が調査してくださる認定調査票の中に
『爪きり』のチェック項目があります!
介護の現場では、爪切りが適切にできるのかをチェックすることは
その方の身体能力や介護必要度を検討する上で常識なのかもしれません。

 

私も診察の中で
患者さんの
足をよく診せていただいております。

むくみ、爪白癬、しもやけ、巻き爪・・・・
足は実に多くの事を教えてくれます。
靴下を脱ぐのは、患者さんにとっては少し大変ですが・・・

看護師さんは、必要に応じて
爪切りや爪のケアをとても丁寧にしてくださっております。
診察よりもそちらをメインに楽しみにしておられる方もおられます!

 

足のつめきり

足の爪のケアがうまくできていないときは
介護、医療サービスを見直すチャンスかもしれないので
これからも積極的に
靴下を脱がさせていただきますね!!

 

あん奈

参考文献

① James K, Orkaby AR,Schwartz AW.Foot examination for older adult.
(Am J Med.2021 Jan;134(1):30-35.) PMID:32805226 →こちら

② Toenails as the Hemoglobin A1c of Functional Independence-Beyond the Polished Wingtips
(JAMA Intern Med. 2018 May 1;178(5):598-599

③プライマリ・ケア 春号 Vol.9 No2 2024 P68-70