60歳過ぎたら、RSウイルスワクチン予防接種についてご検討、ご相談ください。当院でも接種可能です。【2025.4月更新 】

RSウイルス感染症とは?

RSウイルスをご存知でしょうか

RSウイルス感染症とは
子供から大人まで感染する
RS(respiratory syncytial )ウイルスによる
呼吸器の感染症です。
RSウイルスは、日本を含め世界中に分布しています。

日本ではRSウイルス感染症は感染症法ではコロナウイルス感染症と同じ5類感染症に指定されており
小児科定点医療機関の届出に基づき流行状況が探知されています。

生後1歳までに半数以上
2歳までにほぼ100%の子が
RSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。

また、何度も感染と発病を繰り返します。

お孫さんのお世話を頼まれるような60歳以上の世代の方の中には
重症化しやすい方もおられるので
今日はそんなRSウイルス感染症を予防できるワクチンのお話です。

RSウイルス感染症の症状は?

症状としては、軽症から重症まで様々です。

通常は
RSウイルスに感染してから
2~8日(4~6日間が多い)の潜伏期間を経て
発熱、鼻汁などの風邪のような症状が数日続き、軽症で自然軽快することが多いです。

なので、そこまで心配することはないでしょう。

しかし、中には
咳がひどくとまらない、喘鳴(ゼーゼー)が出る、呼吸困難となるなど
重いの症状が出現することもあり(重症化)
場合によっては、細気管支炎、肺炎へと進展することもあり注意が必要です。

 

RSウイルス感染症にかかったら、治療は?

RSウイルスには、特効薬はありません。

症状を緩和するお薬を飲んで
自分の免疫力で追い出していきます。

なので免疫力が弱い方(後述)は予防が必要です。

 

どういう人が重症化に気をつける必要がある?

下記に当てはまる方は重症化に気をつける必要があります。
RSウイルス感染症を予防することもできるので対策をとってまいりましょう。(後述)

・基礎疾患を有する方
・早産児
・生後24か月以下で心臓や肺に基礎疾患がある小児
・神経・筋疾患やあるいは免疫不全の基礎疾患を有する小児

・生後6か月以内の乳児全般
・糖尿病や肥満、慢性腎臓病などの持病がある方

・慢性呼吸器疾患などの基礎疾患を有する高齢者
 →今回は特にこちらの方々に対してのワクチンのお知らせです。

RSウイルス感染症はどうやってうつる?

主に接触感染飛沫感染で感染が広がります。

●接触感染は
RSウイルスに感染している人に触ったり、
ウイルスがついた物品を触ったり、その手をなめたりすることで感染することを言います。
なので保育園などお子さんに流行しやすい傾向があります。

●飛沫感染は
RSウイルスに感染している人の咳やくしゃみ
あるいは会話などをした際に口から飛び散るしぶきを
浴びて吸い込むことにより感染することを言います。

60歳以上の方は、親御さんに変わって熱の出たお孫さんの世話を頼まれることも多いと思います。
『コロナとかインフルエンザは検査して出なかったから!』と子供に頼まれて
お孫さんをお預かりすることも多いと思います。その中にはRSウイルスに感染している子も
当然おられます。

せっかくだからお孫さんを見てあげたい!
そう思う方も多いでしょう。

是非、ご自身を守るためどんな場合も
しっかり、うがい、手洗いの対策をとっていきましょう。

手洗い うがい

手洗い、うがい以外の予防方法は?
お薬の注射やワクチンについて

さて、手洗い、うがいをきっちり行った上でさらなる予防方法はあるのでしょうか?
予防方法は以下のように分けて考えるとスッキリします。

1) モノクローナル抗体製剤 

RSウイルス感染による重症化リスクの高い新生児、乳児が対象になります。
当院では、施行してません。
申し訳ないですが、かかりつけの小児科の先生とご相談くださいね。

2) RSウイルスワクチン(現在2種類のワクチンが接種可能です。)

①アレックスビー®(GSK社)

60歳以上のハイリスク患者の重症化予防を目的としたRSウイルスワクチン
として2024.1月に発売されたのが
GSKのアレックスビー®です。

RSウイルス感染症に対する効果は
60歳以上で、RSウイルスに感染し症状が出るリスクを約1/5程度に減らせると言われています。

一価ワクチンだが、アジュバントという免疫の活性化を助けるものが入っている。

 

RSウイルス予防接種ポスター

GSKのHpより→こちら

 

②アブリスボ®(ファイザー社)

ファイザー社から 2024.5.31発売開始とい新しいワクチンです。
以下の2つの年代と目的での接種が認められております。

★新生児および乳児の下気道疾患予防のため、妊婦さんが受けます。
妊娠24~36週の妊婦に1回接種します。

60歳以上においても妊婦と同じ量を1回接種することで
RSウイルス感染症の予防が期待できると言われております。

二価ワクチンですが、アジュバントはなし。

アブリスボ宣伝資材

ファイザー社 HPより→こちら

RSウイルスワクチンはどんな人にお勧め?

RSウイルスワクチンは60歳以上が対象です。(上記アブリスボは妊婦さんにも)
特にRSウイルス感染症の重症化リスクが高い方に勧められます。

・高齢者
・慢性の心臓または肺疾患のある成人
・免疫力が低下している成人
・特定の基礎疾患のある成人
・老人ホームや長期介護施設へ入所している成人

是非、当院にご相談ください。

お孫さんを預かる機会が多いかたにオススメです。

接種方法

①アレックスビー®(GSK社)

・不活化ワクチン
・0.5ml 筋肉内接種
・2〜3年毎に1回接種が必要(効果はそれくらいの持続見込)
・費用 26400円(税込)2025.4月現在

 

②アブリスボ®(ファイザー社)

・組み換えウイルス(タンパク)ワクチン 
・0.5ml 筋肉内接種
・予防効果の持続についてはまだデータなし
・費用 33000円(税込)2025.4月現在

副反応

筋肉注射のため、「注射を打った部位の痛み」が最も多いです。
赤くなったり腫れたりすることもあります。

 

ほかのワクチンとの間隔はどれくらい空けるのか?

不活化ワクチンのため他のワクチンとの間隔は基本的に必要ありません。
同時接種もできます。

★ただし、コロナワクチンとは、コロナワクチン側の要件で
2週間間隔を空けることになっております。

過去の記事もご参照ください。→『予防接種のスケジュールを立てるときのルールについて』

おわりに

様々なワクチンがあり
何をどのように受ければいいのか
自分は受ける必要があるのか
いつ受ける必要があるのか
迷われる方も多いと思います。

是非、一つ一つのワクチンについて
ご相談いただけたらと思います。

 

あん奈

過去の参照ブログ

・予防接種のスケジュールを立てるときのルールについて(2024.6月更新)こちら

予防接種のスケジュールを立てるときのルールについて(2024.11月更新)

★★★大人のワクチンについてはこちらも参照を★★

・帯状疱疹ワクチンに不活化帯状疱疹ワクチン接種が加わりました。こちら

帯状疱疹ワクチンに不活化帯状疱疹ワクチン接種が加わりました。

・肺炎球菌ワクチンについて (2024.6月更新)こちら

成人の肺炎球菌ワクチンについて (2024.6月更新) こちらは最新記事があります。