大腸カメラの検査の前はなるべくリラックス!前処置までの食事は塩分摂取もこころがけましょう!!

 

こんにちは

 

さてみなさんは大腸カメラの検査を受けられた事はあるでしょうか?

大腸カメラ

 

カメラそのものよりも
前処置といって
腸をきれいにするために、経口腸管洗浄液を飲むのを
本当に皆さん苦労されておられますよね。。。

私は、胃カメラはありますが大腸カメラはまだ受けたことがありません。

本当に有用な検査ですが
私も前処置のことを思うと
なかなか気が進まないのが本音です。

でも、いざ受ける!となったら
前処置の前までは、しっかり塩分を(含む食事)を摂って
なるべくリラックスしていつも通り過ごす必要がありそうです。

最近読んだ記事をシェアしておきます。

架空の症例ですが・・・・こういうことって、普通にありそうな気がします。

75歳女性 Aさんは
最近、『便秘がひどく、少し細い便がでる』という心配があり
高血圧などで通院中のかかりつけクリニックに相談しました。

 

お腹痛い 相談

クリニックの先生と相談の上
大腸カメラを人生で始めて受けることにしました。
今まで、胃カメラやら大腸カメラやら怖くて避けていたAさん。
先生に『細い便が出るなら“悪いものの”可能性も否定する必要があるので頑張りましょう』
と言われ、意を決して頑張ることに決めました。

他院の大きめの病院の『消化器内科』を紹介され
大腸カメラの予約をとって前処置の経口腸管洗浄液をもらってきました。

さて、検査の日が近づいてきました。
やると言ったものの
初めての検査に緊張してしまい、ここ数日はあまり食欲がわかなかったAさん。
『水分だけはしっかり摂らないと!』と水分とゼリー飲料をがんばって摂っていました。

心配していた前処置のお薬(経口腸管洗浄液)もなんとか飲めて迎えた当日・・・
少し怖かったものの、さほど痛みもなく
無事に検査を受けることができました!!!
結果は後日聞きに行くことになりました。

しかし検査後、すぐ食欲が湧くかと思ったのですが
なんとなく倦怠感があり、まだ食欲がありません。

でも『水分だけは飲まないといけない』と思って
がんばってお茶やゼリーを飲んで過ごし早めに就寝しました。

翌朝になって治るかなと思ったものの、昨日より倦怠感が強く
頭痛や吐き気もあり、ついに嘔吐してしまいました。
数日様子をみようかと思いましたが、点滴をしてもらおうと、かかりつけのクリニックを受診しました。

クリニックの先生は
検査を頑張ったAさんを労いつつ
Aさんの話を聞いてある病態を疑いました。
そこで点滴のついでに採血をしましょう!と説明しました。

採血では

『ナトリウム』という電解質(簡単に言うと塩分)が非常に低値
でありその事が原因と分かりました。

クリニックの先生より
『水分のとりすぎ、塩分のバランス少なくなり、体液が非常に薄まっている状態になっている。』
つまり『低ナトリウム血症』がおきていると説明を受け
再度、大腸カメラを受けた病院に搬送となり
入院の上水制限と
食塩水の点滴が開始となりました。

さてどういうことが起こっていたのでしょうか???

bowel prep hyponatremia という考え方(前処置による低Na血症)

さて、大腸内視鏡検査は安全性の確立した検査とされており大きな問題は
滅多に起こりません。

しかし、稀ではありますが(発生頻度は 不明)
条件が重なると
この症例のように『低ナトリウム血症』という病態が起こることがあります。

Windpesslらは
2017に大腸内視鏡検査を契機にした水中毒を
bowel (腸) prep(準備) hypoonatremia(低Na血症)という名前で提唱してます。(参考文献①)

病態としては

・抗利尿ホルモン(ADH)分泌亢進

大腸カメラの前処置の腸管洗浄剤により体液喪失が起きるため
体液を体に溜め込もうとする『抗利尿ホルモン』がでると言われています。
また、人はストレス下でもこのホルモンが出ると言われています。
この架空症例では、よっぽどカメラのストレスもあったかも知れません。
結果的に、尿が出なくなり体の中に水分が溜まり、結果として体の塩分は薄まる傾向になります。

・塩分不足

数日前から検査の不安もあり
この症例の患者様も食事はあまり入ってませんでした。
塩分をあまり摂っていなかったのも低ナトリウム血症の原因になります。

 

・水分摂取過剰

この症例の患者様も
『水分だけはとらないといけない』と頑張って
お茶を飲んでくださっていました。
もう少し塩分を含む水分を摂っていたら良かったかも知れません。

・その他

その他には、年齢や、もともとの腎機能、普段定期で内服しているお薬の影響
なども合ったと思います。

 

『ちょっとしたこと』なのですが、重なると・・・

人の腎臓は結構すばらしくで
例えば、一時間に1Lもの水分をとってもきちんと尿として排泄してくれます。

でもその腎臓の能力を超えて
水分を取ると『水中毒』という病態になります。

塩分をとると、人体は尿として塩分を出そうと腎臓は働くのですが
塩分が少ないと、腎臓はあまり尿を出そうとがんばりません。

今からあの架空症例を振り返ると
『ありがちな、ちょっとした事が』積み重なり

水中毒の状態になっていたと思われます。

ではどうすれば・・・

ではどうしたら良かったのか・・・・

なかなかわかっていても難しいところですね。

検査のストレスを感じないように!というのはなかなか難しいことです。

でも
こういう病態がある!ということを知っておいて
『水分だけをとるのではなく、塩分も必要だな』というように心がけるというのは一つの手ですね。

水分と塩分

 

またこういう病態を知っておいて
『おかしいな』と思ったらすぐクリニックに相談するというのも一つです。

私も『大腸検査前処置による水中毒は、倦怠感、頭痛、嘔気などの軽微な症状でいつ自分のクリニックに来てもおかしくない』
と心をに留めて
明日からもしっかり病歴聴取を大事にしていこうと思いました。

 

 

おわりに

さて今日は、大腸カメラにまつわる、稀だけど大事な注意事項のひとつのトピックでした。
私も、何をかくそう、受診や検査で過度に緊張しがちなので
今後検査を受けるときはリラックスして挑みたいと思います。

 

尚、当院では、大腸カメラは受けられませんので

必要がある場合は
近隣の消化器内科の先生方にご紹介させていただいております。

いつも快く
検査を引き受けてくださる先生方には
心から感謝しております。
これからもよろしくお願いいたします。

 

あん奈

参考文献

①Windpessl M,et al:BMC Nephrol 18(1):54,2017  PMID:28173768→こちら