よくある症状シリーズ 〜頭痛について〜

今日のテーマは、『頭痛』です。。。。

頭痛

頭痛はありふれた症状ですので
頭痛を今まで経験したことないという方は、なかなかおられないと思います。

 

なので、みなさんの中には
自分もしょっちゅう頭痛あるし
『頭痛』って大したことないわ
と思っておられる方がいるかもしれません。

ただ、『頭痛』には
怖い頭痛も含まれています。

なので『頭痛』の診察は、実は少し気を張ります。

一次性頭痛?二次性頭痛?とは・・・

頭痛は、脳の中に器質的に異常を認めない機能的な「一次性頭痛」
器質的な異常を認める「二次性頭痛」とに分けられます。

『器質的』にとは、形態的に、解剖学的にという意味です。
反対語は 『機能的』と言います。

なので
・一次性頭痛=機能性頭痛
・二次性頭痛=器質性頭痛
といえますね。

頭痛を訴える患者さんが来られましたら
医師はまず『二次性(器質的な)頭痛』ではないか?
というとことから診察を始めていきます。
二次的な頭痛には『怖い』頭痛である可能性と、時間を急ぐものが含まれているからです。

 

●二次性頭痛の例

・頭蓋骨骨折 
・むちうち
クモ膜下出血 脳動脈解離
髄膜炎
・脳膿瘍(脳に膿がたまる)
・脳腫瘍
緑内障発作
・帯状疱疹

などなど・・・・
二次性頭痛の中には、早く診断をつけて早く治療しないといけないものがたくさんあります。
緑内障発作などの、いっけん頭と関係ないような目の緊急の病気も頭痛で来るというのがポイントの一つですね。

 

●一次性頭痛の例

一方、一次性頭痛とはどんなものがあるでしょうか?

頭痛にはさまざまなタイプがあり
国際頭痛学会の基準である『国際頭痛分類第3版(ICHD-3)』では実に細かく分類されています。→こちら

その中で、長期にわたりくり返し起こる代表的な一次性頭痛として知られているのが
「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3つです。

片頭痛 片頭痛についてはこちら
・緊張型頭痛 →緊張型頭痛についてはこちら
・群発頭痛→こちら

なじみのない頭痛の名前もあると思いますが
『形態的に』『解剖学的に』は、異常はない頭痛を一次性頭痛といいます。

 

二次性頭痛(怖い頭痛)を見逃さないために!

どの症状もそうですが
医師は、『よくある疾患』の軸で鑑別していくのと別に
『見逃してはいけない疾患』を考える軸の2軸で疾患を鑑別するようにトレーニングを受けます。

なので『頭痛』も、まずは
怖い頭痛ではないか?という目線で診察していきます。

下に紹介するのは、頭痛問診のポイントです。
レッドフラッグというのは、「危険なサイン」ということです。
頭文字を『SNOOP』と言ったりします。
頭痛の問診では、こういった事を意識しながら診察しているので、ぜひご参照くださいね。

 

 

二次性頭痛 レッドフラッグ

頭痛の診療ガイドライン 2021より引用

 

 

まとめますと、

・今までの頭痛とはちがう!
・初めての頭痛
・人生最悪
・急激に発症(すぐに最強になった)『バットで殴られたような・・・』
・突然発症(頭痛時何をしてたか覚えている)

・麻痺あり
・しゃべりにくい

などがあったら、『頭でなにか起きているかも!!!』と思って頭部CT/頭部MRIなどを考慮します。
くも膜下出血脳出血などを想起します。

こういった場合は、当院のような小さなクリニックの受診よりは
初めから頭部CTが撮れる病院へ受診された方が時間短縮になるのでその方が良いかもしれません。


こういった危険サインのある場合は
救急車を読呼んでも良いと思います。
もし救急車を呼ぶ時には、上記のような『頭痛のレッドフラッグサイン』がある場合しっかりお伝え下さいね。

救急車

 

じゃあ、一次性頭痛はどうしていくのか?

とりいそぎ
緊急を要するような二次性頭痛ではなさそうだなとなった場合・・・
どうしていくかです。

その場合は
頭痛の性状を詳しくお伺いしていきます。

そしてなるべく、『どの』頭痛なのか鑑別しようとして参ります。
繰り返しになりますが
代表的な慢性頭痛(一次性頭痛)として知られているのが「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3つです。

患者さんが一番多いのは
緊張型頭痛こちらです。
いわゆる『肩こりで頭痛い。。。』というものです。
後頭部から首すじにかけて、重苦しい感じや
頭を締めつけられているような圧迫感が起こるのが緊張型頭痛です。

次に多いのは片頭痛です。→こちらに詳しくご説明しました。

その他にも男性に多い群発頭痛いう疾患もあります。→こちらです。
群発頭痛とは、典型的には片側の目の奥がえぐられるような強烈な痛みです。
「群発」という名前の通り、ある一定の期間にまとまって頭痛が起こります。
年1~2回ほど、頭痛が起こる「群発期」には
1回につき1~2時間程度の激しい痛みが1~2カ月間にわたって続くことが多いとされています。

それぞれの頭痛には、上記のようなある程度の特徴があるので
それらを元に問診などから区別をつけようとして参ります。

ただ、正直、鑑別がつかないこともあります。(ごめんなさいね。)
また、緊張型頭痛のなかには、片頭痛の患者さんが紛れていると言われています。

なので、一次性頭痛の場合は
鑑別がつかなくても
基本的には、頭痛を取るようなお薬を合わせて行きます。

●一般的なお薬(痛い時に服用するもの)

・いわゆる痛み止め

アセトアミノフェン(カロナール®)
NSAID(ロキソニン®)
漢方薬(呉茱萸湯など)

・筋肉のこりをほぐすもの→特に緊張型頭痛
筋弛緩薬

・トリプタン製剤→特に片頭痛 群発頭痛

 

●予防薬

あまりに頻度が多いときには、予防薬の処方なども検討していきます。

主に使用される薬剤は以下のようなものがあります。

  • 抗てんかん薬
  • 降圧薬(β遮断薬 Ca拮抗薬)
  • 抗うつ薬
  • 漢方薬

 

片頭痛の予防薬の新薬は、片頭痛のページをご参照ください。→こちら

 

おわりに・・・

頭痛本当につらいですね。

実は、この記事を書いている最中
私自身が「頭痛」と格闘しておりました。(笑)

おそらく緊張型頭痛です。。。

薬に頼らず、ストレッチも効果的です。
頑張ってストレッチします。

それでは。。痛いです。。。

 

 

あん奈