漢方薬について 〜「気」とは何ですか?〜 気虚??

こんばんは。
いかがお過ごしでしょうか?

今日は漢方薬のお話をしましょう。

生薬

 

 

 

以前も載せたことで
恐縮ですが、、、
漢方薬が適応となる場面はたくさんあります。

 

①漢方治療が西洋医学的標準医療に優れている場合
②標準医療が優先であるが、漢方治療を併用することで治療効果が上がる場合
③漢方治療の併用により西洋医学的標準治療の副作用が軽減できる場合
④西洋医学的標準医療が使えない状況で漢方が有効である場合

などなど、、、

 

 

私の専攻する、総合診療、家庭医療の領域は
漢方薬ととても親和性があります。

というのも
「検査で何も出ない」ということと
「症状がない」ということは全く別物
だからです。

『検査で何も出ないので病気じゃないですね!』
といわれると
ホッとする方もおられるでしょうし
症状自体を否定されたようで
『じゃあ、なんでしんどいねん!』
てなる方もおられると思います。

そんなときに漢方薬は症状を緩和する一つの助けになると考えています。

漢方棚

 

人の健康は
体のこと、心のこと、社会的なこと全て関わって起きています。

生物社会心理モデル(BPSモデル)の図

→生物心理社会モデル(BPSモデル)について→こちらもご覧ください。

 

なので検査で何もない=大丈夫!ではないのです。

 

今まで、私も救急病院などで勤務していた時には
救急というのは
その日処置がいるか帰宅できるかを判断する部署ですから
色々検査して問題なければ
「とりあえず」今のところは大丈夫!と行って患者さんに帰宅許可を出していました。

 

しかし、「主治医」として
深く、患者さんに定期的に関わるようになってからは
それだけでは
その方は本当に「救われているわけではない」ことをたくさん目の当たりにしました。

 

そういう時の、一つの選択肢として
「漢方」はとても効果があることを経験し
上手くその方が、症状と向き合う「杖」として
一緒に歩いていく
大変大切な治療の一つであると思うようになりました。

 

今日は漢方診療に欠かせない
「気」という概念に触れてみたいと思います。

「気」とは何ですか?

今日は漢方を処方する際にどうしても外せない概念である「気」というものをご紹介します。

「それは、気のせいです。」
「病は気から!」
「気を遣う」・・・・

私たちは日常会話の中で「気」という言葉を知らず知らず使っていると思います。
この「気」というのは漢方独特の考え方で
目に見えない、捉えにくいものですが
いわば「エネルギー」みたいなものです。

 

この「気」足りなくなると「元気がなくなり」ますが
漢方の用語では「気虚(ききょ)」と呼んでおります。

 

この気虚の状態では
主な症状としては

「倦怠感」「疲れやすい」「食欲がない」「日中眠い」など様々な症状が出てきます。

 

なので皆さん
「何か体に良くないことが起こっているのでは?」と
まずは内科(もしくは救急)を受診されると思います。

そして診察をして、採血したり、レントゲンを撮ったり、心電図をとって
内科的に何か治療を要するものはないか?という検査をされると思います。

でも調べても、現段階で急を要する疾患は何もない。。。。
そんな時があると思います。

 

色々調べて大丈夫なら安心!と
元気が出てきてくだされば良いのですが、、

「そんなこと言ってもしんどいけどな??どうしよう?」

あるいは

「おかしい!!絶対どっかおかしいのに見つけられてないだけだ!!!」
と他の病院に行ってしまう。。。ということは本当に良くあります。

 

そんな時の選択肢の一つとして漢方があります。

漢方はまさにこの「気」を補う漢方が何種類も用意されております。(補気剤と言います。)

気を補う生薬とは?

気を補う生薬としては

「人参(にんじん)」「黄耆(おうぎ)(マメ科)」「白朮(びゃくじゅつ)(キク科のオケラの根茎)」「茯苓(ぶくりょう)(サルノコシカケ科 マツホド)」「大棗(だいそう)」

なんかがあります。

これら生薬を配合した漢方を選択していくわけです。→四君子湯など

 

漢方を処方する場合は診察の際に

話し方、仕草、全体の雰囲気
舌、脈、手足の冷えがあるか
便通の問題
そしてお腹の診察(一般的な腹部診察とは少し診ている場所が違います。)

など診察しながらたくさんある漢方の中から

今回で言いますと「補気剤」の中から
一番その方に合うと思われる漢方を探って参ります。

飲み方もその方の味の好み、ライフスタイルなどによって相談して決めて参ります。

 

この「元気がない」ということに
ちゃんとフォーカスして
ちゃんと向き合ってくれて
その主訴をちゃんと扱ってくれる漢方診療は
家庭医療のBPSを大事にする問診とすごく似ていて私にとっては
違和感なくスッと入っていけました。

 

診察の時に一緒に行う会話
対話自身にも
問題点を整理したり
言語化する力があるんだろうと思っています。

もし「元気がない」というような症状がある場合、ぜひ一度ご相談くださればと思います。

内科的な問題点を探ると同時に、漢方薬も試しながら一緒に向き合いましょう。

 

おわりに

今日は漢方の基本の「キ」!!「気の考え方」について少し触れました。
今日は「気」が足りないという「気虚」についてでしたが
この「気」は循環に問題のある「気鬱」や 気の逆流「気逆」なんて問題もあります。
面白い概念だと思います。

またおいおい紹介したいと思います。

 

さて気を補うためには
睡眠もとても大事です。

私も夜更かし型ですが、、、、、、、
今日はこの辺で睡眠をとって
明日に備えて「気」を補充したいと思います。

おやすみなさい。。。

 

あん奈