人生の最期を迎えるときの医療(ターミナルケア)についてお話します。⑪時期別の状態とケア(亡くなる時)

このシリーズは、人が最期の時を迎えるときのケア、ターミナルケアについて順番にお話してます。
是非、シリーズ通してお読みください。

 

① 導入編→こちら

人生の最期を迎えるときの医療(ターミナルケア)についてお話します。① 導入編

②   最期のときの3つのパターン→こちら

人生の最期を迎えるときの医療(ターミナルケア)についてお話します。②最期のときの3つのパターン

③ 全人的苦痛という考え方とは→こちら

人生の最期を迎えるときの医療(ターミナルケア)についてお話します。③全人的苦痛という考え方とは

④ そもそも緩和医療とは?→こちら⑤ 死を受け入れるということ→こちら

人生の最期を迎えるときの医療(ターミナルケア)についてお話します。④そもそも緩和医療とは?

⑤ 死を受け入れるということ→こちら

人生の最期を迎えるときの医療(ターミナルケア)についてお話します。⑤死を受け入れるということ

 

⑥ スピリチュアルな苦痛?→こちら

人生の最期を迎えるときの医療(ターミナルケア)についてお話します。⑥スピリチュアルな苦痛?

 

⑦ 予後予測について→こちら

人生の最期を迎えるときの医療(ターミナルケア)についてお話します。⑦予後予測について

⑧時期別の状態とケア(亡くなる数ヶ月前)→こちら

 

人生の最期を迎えるときの医療(ターミナルケア)についてお話します。⑧時期別の状態とケア(亡くなる数ヶ月前)

 

⑨時期別の状態とケア(亡くなる数週間前) →こちら

人生の最期を迎えるときの医療(ターミナルケア)についてお話します。⑨時期別の状態とケア(亡くなる数週間前)

 

⑩時期別の状態とケア(亡くなる数日前)→こちら

 

人生の最期を迎えるときの医療(ターミナルケア)についてお話します。⑩時期別の状態とケア(亡くなる数日前)

引き続き、こちらのパンフレットもご参照ください。

緩和ケア普及のための地域プロジェクト(厚生労働科学研究 がん対策のための戦略研究)より
これからの過ごし方について』というパンフレットがあります。
このパンフレットもとても参考になるので是非御覧ください。→こちら

これからの過ごし方について

これからの過ごし方について』

 緩和ケア普及のための地域プロジェクト

 (厚生労働科学研究 がん対策のための戦略研究)

 

 

 

今日は、亡くなる時/お看取りの時の話をします。

 

●お体の様子は

亡くなる前には、顎を上に上げるような呼吸になることがあります。(下顎呼吸といいます。)
呼吸は不規則になったり
呼吸と呼吸の間隔も長くなっていきます。
また、少し息が止まってまた再開することがあります。
血圧は下がっていきます。(私は、無理にはからなくていいと思っています。)

喉がゴロゴロいうかもしれません。
唾液をうまく飲み込めないので
うがいのようになっている状態ですが無理に吸痰しなくても大丈夫です。

苦痛はもはやほとんどないと言われています

なので安心してくださいね。

●家族は、この時、何したらいい??

引き続き、家族は語りかけてくださいね。

繰り返しになりますが
今までの感謝や言いたかったことを
耳元で優しく声掛けしながら
手やお体を撫でることは
残された家族にとってもかなり意味のあることです。

在宅で診ておられると、救急車を呼びたくなることがもしかしたらあるかもしれません。

 

救急車

でもこの段階で救急車を呼ぶことは
思い描いてらっしゃるとおりにはならないことが多いです。

そのときに一人で診ているのが怖くて誰かについていてほしい時にお呼びするのは
訪問看護師さんがいいと思います。

どこかでも書いたかもしれませんが
救急車で到着した先の救急病院の使命は『救命』になります。

冷たく聞こえたら申し訳ないですが
今は、もうその段階ではありません。

私は、救急病院で勤務もしていたので
このような状態で救急搬送されて
ご家族も医療者側も結局『思ってたのと違う!』となってしまうケースも
よく見てきました。
病院に運ぶということは、救命を試みるということです。
心臓マッサージをすること、人工呼吸器に繋がれること・・・・
決してもうこの段階であれば希望していたわけではないと思います。

この段階になるより前にすでに
家族や医療者は
『この最期の時に、家族はどう振る舞うか?医療者はどうするか?』
しっかり話し合っておく必要があります。

この段階で、怖くなり救急車を呼んでしまう気持ちは分かりますが
最期のこの時を迎える時のことを
ある程度家族は覚悟しておいて
その際はどうやって動くのか、誰に連絡するか
しっかりシュミレーションをしておく必要があります。

お看取り

私は、在宅療養の方は
上記のようなプロセスを経て亡くなって行かれるのを経て
ご家族がお別れをされてからおちついて、医師を呼んでくだされば良いと思ってます。

在宅でのお看取りは
医師は訪問看護師さんや、ご家族から
『呼吸が止まったようです。』というお電話を頂いて
ご自宅に向かうことが多いです。

病院でのお看取りは
下顎呼吸が出てきたり、血圧が下がったりしたら
看護師さんがご家族を呼んで
しばらく一緒に過ごしていただく時間を設けて
呼吸が止まったり、血圧が計れなくなったら医師が呼ばれることが多いです。

医師は、診察をさせていただき、死亡確認を行います。

 

 

エンゼル・ケアとはなにか?

確認が終わると、エンゼル・ケアといってお体をきれいにさせていただきます。
もしこの段階でなにか医療行為をしていたら
そういったものもすべて外してしまいます。

一人の方が
その一生涯を終えられたことに尊敬の念とお疲れさまでしたというねぎらいの念を込めて。。。

エンゼルケア

看護師さんが、家族と一緒にされることが多いです。
前回お話した、グリーフ・ケアとしてもすごく重要です。→こちら

ご家族も一緒に今まで
いろいろなことを共に乗り越えて来られたと思います。

そのことを振り返る意味でも大切なケアだと思います。

 

私も祖母が亡くなったときに
祖母の眉毛をきれいにお化粧させていただきました。
実は、私が中学生くらいの時に
『アンナちゃん、女性は眉毛をしっかり整えるのよ。』と初めて祖母に眉毛を描いてもらった記憶があります。
なので私の中では重要な意味を持つ思い出で
最期に、祖母の眉毛を整えたことは
今でも感触として私の手に残り、今でも心を温めてくれる出来事として残っております。

 

おわりに

さて、ターミナルケアシリーズ。
一旦ここで、終了となります。

まだお話できてないこともたくさんあるので
ボロボロとまた書くかもしれませんが・・・

お花を渡す

いろいろ読んでいてつらい気持ちになりそうなことも
書いていてすみません。

ただ、何人かの方が現在進行形で闘病や介護されており
『すごく参考になった。落ち着いて介護できている』と言っていただき
このような拙い文章でも
書き始めてしまった以上はとりあえず最期まで書いてしまおうと思い続けてきました。
自分が担当していたら、ご本人にご家族に
ご説明するように。。。

今、迷いながら闘病されている方、介護されている方に
少しでも安心と穏やかな時間があることを心からお祈りしております。

今、迷いながら、不安ながら選択されてきたことは
その時精一杯考えてなさったことなのですべて正解だと思います。

正直に言うと、医学部でならうのは
『病気の機序』や『治療法』であって
『どうやって最期まで生きていくか』については
(最近少しスポットが当たり始めたかもしれませんが)
あまり習いません。

その方の人生です。その方やご家族の好きなように生ききっていいと思っています。
『死』を覚悟した方にとって
制限もないですし(例えば、タバコとかも吸いたいなら周りに配慮さえすれば吸えばいいし)
怖がることも何一つないと思っております。
ただ取り除ける苦しみならとりたいでしょうし
予後やどうなっていくかの情報がほしい時に(残された人生の設計のために)
アドバイスを貰えばいいだけだと思います。

これからも迷いながら、不安ながら進まれると思いますが
最期までその人らしく生きていかれることを応援しております。

まだまだこれから
多くの経験をしていく中で
分かったこと、感じたことがあればまた書き直したりするかもしれませんが
よろしくお願い致します。

一旦失礼します。

あん奈